シェア1位の維持が最優先、4G投資回収の支援も:ノキアソリューションズ&ネットワークス 社長 ジェジュン・ウォン氏(3/3 ページ)
ノキアソリューションズ&ネットワークスがジェジュン・ウォン氏を社長に迎えて約半年が経過した。同氏は、日本市場で最も注力すべきはシェアでトップを維持することだと強調する。さらに、Nokia本社によるAlcatel-Lucent買収も、日本の顧客にメリットをもたらすという。
Alcatel-Lucent買収で、エンド・ツー・エンドをカバー
EETJ Nokiaは2015年4月にAlcatel-Lucentを買収すると発表したが、買収の背景について教えてほしい。日本顧客にとって、買収によるメリットはあるのか。
ウォン氏 製品ポートフォリオと、売上高の高い地域の2つにおいて、非常に良い補完関係があったということが、買収を決めた主な理由だ。
5Gでは、キャリア各社は、ネットワークの端から端まで、つまりエンド・ツー・エンドをカバーできる製品を求めている。Nokiaは、モバイルネットワーク向け基地局に極めて強い。一方でAlcatel-Lucentは、スイッチやルーターに強みを持っている。そのため、製品ポートフォリオの観点ではお互いに良い補完関係にある。Nokiaの基地局とAlcatel-Lucentのスイッチ/ルーターを組み合わせることで、エンド・ツー・エンドをカバーする製品群を提供できることになる。
さらに地理的な観点でいうと、Nokiaは欧州やアジアでシェアが高く、Alcatel-Lucentは米国で強いという点が挙げられる。売上高を見ると、米国ではAlcatel-LucentがNokiaの3倍以上となっている。一方、アジア太平洋/日本/インドでは、Nokiaの売上高がAlcatel-Lucentの3倍だ(参考資料)。
また、この買収により、研究開発費用が大幅に増えることになるので、サードパーティーに製品開発を依存するよりも、よりコスト効率の高い製品を自社で開発し、顧客に提供できるようになる。これは、日本の顧客にとっての最大のメリットになるだろう。
EETJ 買収完了後、Alcatel-Lucentの名前は残るのか。
ウォン氏 その辺りは、まだ分からない。2016年1月中には詳細が発表される予定だ。
EETJ パナソニックの無線事業を買収して約1年だが、それについてはどうか。
ウォン氏 統合は順調に進んだと感じている。現在、パナソニックから移ってきたエンジニアたちはノキアのエンジニアとチームを組み、研究開発に励んでいる。
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