着実に進歩するEUV、課題は光源:7nmプロセスでの実用化は可能なのか(2/2 ページ)
EUV(極端紫外線)リソグラフィ技術は、着実に進化を遂げている。業界には、2018年ごろの実用化を望む声も多いが、当面の課題は光源の強さをどう向上するかにありそうだ。
DRAM工場のスループット向上にも期待
EUV装置は、ナノメートル単位で極めて高い精度を達成することができるという点において優れている。しかし、スループットや信頼性など、多くの面で後れを取っていることから、開口数を向上させて、5nmまたは3nmの線幅で使用できるようにする必要があるといえる。Van Hout氏は、「ASMLは現在、利害関係者との間で、EUV装置の構造やタイミングなどの詳細について話し合いを進め、性能向上の実現に向けた対策を講じているところだ」と述べている。
同氏は、EUV装置を使用しているDRAM工場の配置図を示しながら、「EUV技術は、工場のスループットを高め、プロセス工程を29〜32%削減することによって、生産量を7〜9%増加させることが可能だ」と主張する。既存の液浸装置で、16nm以降のプロセス技術で求められる微細なパターンを実現するには、ウエハーを何回も露光する必要がある。
ISSにおいて、IM Flash Technologiesの共同CEOであるGuy Blalock氏は、「われわれは、DRAMの製造におけるEUVリソグラフィについて、今後2〜3年以内に大きな決断を下すだろう」と述べた。同社は、IntelとMicron Technologyが2006年に設立したベンチャー企業である。
同氏は、「理論的には、EUV技術を使えば、生産性を15%向上できる。2018年には、EUVは、もはや無視できなくなるほどの技術になっているだろう」と語った。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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