1万2000枚の画像を1秒で検索するサーバ:もうパワポをいちいち探さなくてもいい?(2/2 ページ)
富士通研究所は2016年2月2日、大量のデータの中から画像そのものを検索キーとして、検索画像の一部に一致する画像を高速に検索する技術を開発したと発表した。汎用サーバと比較して50倍以上の処理能力である、1万2000枚/秒の処理を可能にしたという。
特徴量抽出とマッチング処理部分をFPGAに実装
部分画像検索を高速に実行することを可能にした要因は2つあるという。1つ目は、検索に必要なフローのうち、特徴量抽出とマッチング処理部分をFPGAに実装したことだ。「FPGAはCPUやGPUに比べて、演算器や並列度を柔軟に構成できるため、それぞれの処理を高並列/高密度に実装できた」(富士通研究所)と語る。特徴量抽出は32並列、マッチングは384並列実装し、高速な部分画像検索を実現している。
2つ目は、処理のスケジューリングの最適化を行ったことだ。富士通研究所は今回、データの先読みを行いながら、状況に応じて処理順序の入れ替えを行い、読み出したデータが無駄にならないように制御するスケジューリング技術を新たに開発。これにより、高い処理性能を実現したという。富士通研究所は、「同技術は、画像の輝度値の濃淡情報から似ているかどうかを判断するため、のっぺりしているような画像では、画像の一致がなくても、似ていると判断してしまう可能性がある」と語る。
FPGAの実装とスケジューリングの最適化の概要。CPUとFPGAは汎用製品だが、「マッチングのアルゴリズムやFPGAの構成に当社のノウハウが詰まっている」とした (クリックで拡大) 出典:富士通研究所
富士通研究所は今後、高速画像検索IPを利用した全体的なシステムの開発を進め、2016年度中に実用化を目指すとしている。価格は非公開としているが、多くのサーバを導入するより、1台で多くの処理が可能となるため、総コストと省スペース化を考えると安くなるだろうとした。また、「今後は動画や音声といったさまざまなデータに対しても快適に扱えるような機能拡充を進めていく」(富士通研究所)と語った。
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