数字が暴く! “らくらくダイエット”の大ウソ:世界を「数字」で回してみよう ダイエット(26)(3/5 ページ)
今回は、私が連載当初から掲げてきたテーゼ「人類は、ダイエットに失敗するようにできている」を、目に見える形(=シミュレーション)で示します。前半では、このシミュレーションに使うパラメータを作るべく、ダイエットの苦痛を“定量化”します。なぜ、“苦痛”がパラメータなのか? ――それは、苦痛を伴わないダイエットなど、ダイエットとはいえないからです。数字が、それをちゃんと語ってくれるのです。
「らくらくダイエット」は全てウソ!
ダイエットの成果を、短い期間で「見える化」するには、必ず、「無理」が必要になります。
そもそも、「5年で痩せるらくらくダイエット」などという本が売れると思いますか? それ以上に、そんなダイエットが本当に実現できると(以下省略)。
そのようなダイエット中には、体がその状態を維持するために必要なカロリー量に対して、それより少ないカロリー量しか与えられないのですから、体が苦痛を感じるのは当然のことです(そのような状況で、苦痛を感じられない生物は、既に絶滅しているはずです)。
どんなに大量のコンニャクゼリーを食べようとも、この苦痛から逃れる術(すべ)はありません。一時的な飢餓感が押えられたとしても、一日中、食事のことが頭を離れません。
さらには、めまい、貧血、体のだるさ、筋肉痛、生理不順、尋常でない睡魔に襲われ、もっと深刻になると、うつなど、精神的にも病んでくることがあります。
ダイエットは必ず苦痛を伴うものであり、苦痛を伴わないものはダイエットの効果を発揮できません。「らくらくダイエット」なるものは、全てウソです*)。
*)もし「5年間、コロッケ1個だけ我慢する」と同様のダイエットで、10kg以上の減量に成功した方がいらっしゃいましたら、インタビューに参上致しますので、ぜひご連絡ください。
江端家100日(第1期)+50日(第2期)ダイエットで、実際に私の「苦痛」がどのように推移していたかを、「超シンプル体重変動シミュレータ(C言語版)」を使って「見える化」してみました。
このように、ダイエットの苦痛は、体重の減少にあわせて減っていきます。体重が減れば、基礎代謝カロリー量が減っていくからです。
そして、目標体重に達した後は、その体重を維持する分のカロリー量だけを取得していれば、体重は増えず、かつ苦痛もありません。
しかも、(私も今回の計算で初めて気がついたのですが)驚くべきことに、ダイエットの終了後には、ダイエット開始前の食事と、大差ない量の食事をとっても大丈夫なのです。
私の場合は、ダイエット開始前が2370kcalで、(ダイエット中が1720kcalで)、ダイエット終了後が2210kcalですので、結局ダイエットの前後のカロリー量は160kcalに過ぎません。
つまり、コロッケ0.75個分を減らして、11.5kg以上のダイエットを実現するのは現実的に不可能ですが、いったん痩せてしまえば、1日たったコロッケ0.75個分のカロリー量(160cal÷207cal)を減らすだけのことで、苦痛なく、私は11.5kg減の体重を維持し続けることができるのです。
―― いったん痩せてしまえば、こっちのもの
これこそが、苦しいダイエットを実施する意義なのです。
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