CPUとメモリのアーキテクチャ:福田昭のデバイス通信 ARMが語る、最先端メモリに対する期待(3)(1/2 ページ)
今回からは、「CPUのメモリに対する要求」について紹介していく。まずは、CPUのアーキテクチャがどのように変ってきたかを振り返りつつ、CPUのメモリに対する要求の変遷を見ていこう。
CPUアーキテクチャはシングルからマルチ、ヘテロへと変ぼう
前々回から、国際会議「IEDM」のショートコースで英国ARM ReserchのエンジニアRob Aitken氏が「System Requirements for Memories(システムがメモリに要望する事柄)」のタイトルで講演した内容を紹介している。
前回までは、講演の第1パートである「背景の事情とシステムの課題」を説明した。今回からは、第2パートである「CPUのメモリに対する要求」の講演概要をご紹介する。
講演では始めに、CPUのアーキテクチャがどのように変革されていったかを振り返った。1990年代のCPUアーキテクチャは、単一のコア(シングルコア)で動作周波数を高めることに注力していた。それが2000年代に入ると、複数個の同じCPUコアを並べたマルチコア・アーキテクチャへと大きく変化した。2010年代の現在は、複数個の異なるプロセッサ・コアを並べたヘテロジニアスなマルチコア・アーキテクチャが主流となっている。
CPUアーキテクチャの主な制約条件は、シングルコアの時代はシリコン面積だった。製造技術の微細化は順調に進んでおり、微細化と動作周波数の向上によってCPUの性能は向上した。マルチコアの時代になると、アーキテクチャの制約条件は消費電力に換わった。微細化が進む速度には陰りがみられるようになり、動作周波数ではなく、スループットの向上によってCPUの性能を高めた。ヘテロジニアス・マルチコアの時代では、制約条件は消費エネルギーへと変化した。微細化はもはや頼りにはならない。消費エネルギー当たりのスループットを高めることがCPU設計への要求になった。
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