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新ナノ合金を使った圧縮機が次世代省エネ実現へパナソニックと東北大学(2/2 ページ)

パナソニックの生産技術本部は、東北大学が研究開発を進める新ナノ結晶合金「NANOMET」を用いたモーターを搭載した圧縮機の試作に成功したと発表した。電磁鋼板を使用したモーターと比較して3.1%の効率向上を実証。これにより、圧縮機の高い省エネ性能を実現できるという。

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「世界で初めて」圧縮機の駆動に成功

 今回、パナソニックと東北大学は、NANOMETをコア材として積層したステータ(固定子)コアにコイルを巻回した直径125mmのモータ−を試作。このモーターは、電磁鋼板のモーターとほとんど同じ形状に加工しており、「世界で初めて」(パナソニック)NANOMETを用いたモーターを組み込んだ圧縮機の駆動に成功したという。

 NANOMET搭載の試作モーターは、電磁版のモーターと比較して鉄損を60%減、効率を3.1%向上した。同試作モーター搭載の圧縮機のCOPは2.9%向上。パナソニックは、「2.9%は、求められる省エネ性能に対して十分に高い数字と思っている」と語る。


今回発表した試作モーター、試作圧縮機の性能評価結果 (クリックで拡大) 出典:パナソニック

展示されていた冷蔵庫用の圧縮機のカットモデル (クリックで拡大)

応力がかからない工夫を

 牧野氏は、試作モーター開発の成功について「NANOMETのような軟磁性材料は、特性は優れているが応力に弱い。材料に応力がかかったとしても劣化しない配慮は行っているが、実際の環境で積層するのは難しい。今回、パナソニックがNANOMETに応力がかからない工夫を行ったことで、モーター/圧縮機の試作に成功した」と語った。

従来モーターとNANOMETを活用したモーターの消費電力の比較 (クリックで拡大)

 今後は、家電や産業機器への搭載に向けて、量産技術の開発を進めコストダウンを図る。パナソニックの生産技術本部で本部長を務める井上博之氏は、「生産技術本部は、工場/商品を進化させるモノづくりの戦略統括を行う部署であるため、商品化は他の事業部が引き継いで行う形になる。そのため、商品化の時期は明言できないが、パナソニックが100周年を迎える2018年をめどに研究開発を進めていきたい」と語る。

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