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有機ELの長寿命化に貢献する標準ガスバリアフィルム:粘土とポリイミドで(2/2 ページ)
産業技術総合研究所(産総研)は2016年3月3日、ガス透過性が従来より1000分の1という高いガスバリア性を誇る標準ガスバリアフィルムを開発したと発表した。
「ハイバリアフィルムを評価する基準に」
ガスバリア性評価装置の測定有効径が90mmの場合、ステンレス薄板の穴径を20mm、6.5mm、3.5mmとすると、それぞれ、1.0×10-4g m-2 day-1、1.1×10-5g m-2 day-1、3.1×10-6g m-2 day-1の標準ガスバリアフィルムとなることが、設計上見込まれるとする。
産総研では、開発した標準ガスバリアフィルムの水蒸気透過度を比較用のPETフィルム試料とともに、ガスバリア性評価装置を用いて確認。その結果、「設計値通りの水蒸気透過度であることが確認できた」としている。
産総研は、「今回開発した標準ガスバリアフィルムは、その他のさまざまなガスバリア性評価装置の試料ホルダーに取り付けることができるので、それらについても、同様の測定結果が得られるか確認するための比較実験を行う。また、国家標準にトレーサブルな標準ガスバリアフィルムを供給できる体制を整えていく予定。標準ガスバリアフィルムを用いることで得られる信頼性の高い水蒸気透過度の測定は、有機ELディスプレイや有機太陽電池などに使われるハイバリアフィルムを評価する基準となり、これら製品の品質管理や長寿命化に貢献すると期待される」としている。
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