今こそ問いたい――そのダイエット、本当に必要ですか:世界を「数字」で回してみよう ダイエット(28)(2/10 ページ)
ダイエットシリーズも、いよいよ最終回です。今回は、私が、150日にわたりダイエットを行った結果として得たメリットとデメリットを紹介します。結局のところ、私たちは「ダイエットに失敗する」という運命から逃れられないのかもしれません。それでも、ダイエットに関する情報は日々氾濫し、その市場が縮小することはないように思われます。だからこそ、こう問いかけたいのです。「そのダイエットは、本当に必要ですか?」と――。
結構いける? 低インスリンダイエット
「低インスリンダイエット」とは、食物カロリーではなく、インスリンの分泌量が少なくてすむ食物を選んで食べる、というダイエット方法です。
インスリンとは、血液中の糖分をエネルギーに変換することで、その糖分を一定に保つ働きをもつホルモンの一種です。血糖中の糖分(血中糖度)を一定に保たないと、血管が詰って血液が流れなくなるからです。
人間の体は、インスリンが適正に分泌されないと、エラいことになります。最悪の場合は失明、あるいは壊疽(えそ)した手足の切断、脳内溢血、心臓停止に至ることもあります(糖尿病の代表的な疾患)。
食事を摂ると、血中糖度が上がりますので、当然、インスリンが大量に分泌されます。それは結構なことなのですが、インスリンが大量に分泌されると、糖をエネルギーに変える勢いが余って、エネルギーとして使われていない糖分までをも、早々に脂肪(ぜい肉)に変えてしまうのです。
「そんな、急いでぜい肉にするなぁ!」 って、インスリンに言いたいですよね。
それならば、「インスリンが、一気に大量に分泌されない食べ物を選んで食べればいいじゃない?」と考えた人がいた訳です*)。これが「低インスリンダイエット」です。
*)というか、脂肪分になるほど食べ過ぎなければいいことなのですが、それは今は「言わない方向」で。
で、食べ物一つ一つで、そういうことをちゃんと調べた人(デヴィッド J. ジェンキンズ博士ら)がいたのです。それが、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)、いわゆる「GI値」と呼ばれているものです。
GI値とは、ブドウ糖を摂取した時の血糖値上昇率を100として、相対的に表されています。このGI値が低い食物を摂取した場合、インスリンの分泌速度は、ゆっくりになります。
インスリンが「ダラダラ」分泌されてくれれば、確かにうれしいです。なぜなら、インスリンが、糖分を脂肪として摂り込む前に、仕事とか勉強とか運動とかで、エネルギーとして使っちゃえばいいんですから。
これまで、さまざまなダイエット本を、冷笑し、嘲笑し、バカにしてきたこの私も、「これは、結構イケるかもしれないぞ」と、結構興奮しました ―― その時は。
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