今こそ問いたい――そのダイエット、本当に必要ですか:世界を「数字」で回してみよう ダイエット(28)(3/10 ページ)
ダイエットシリーズも、いよいよ最終回です。今回は、私が、150日にわたりダイエットを行った結果として得たメリットとデメリットを紹介します。結局のところ、私たちは「ダイエットに失敗する」という運命から逃れられないのかもしれません。それでも、ダイエットに関する情報は日々氾濫し、その市場が縮小することはないように思われます。だからこそ、こう問いかけたいのです。「そのダイエットは、本当に必要ですか?」と――。
ぬぐえない、違和感
私が「あれっ?」と、違和感を覚えたのは、そのGI値の表を見た時です。以下のグラフは、私がGI表から2次元の分布表に展開したものです。
カロリーの高い食物はGI値が高く、カロリーの低い食物はGI値が低いのです。例外は、「ピーナッツ」「マヨネーズ」と「ベークドポテト」くらいのものです。
「ドーナツ」や「フライドポテト」が、「もやし」や「ひじき」より太りやすいなんてこと、論じるまでもなく、日本人の常識ですよね。
これらのグラフを見ながら、私なりに、この「低インスリンダイエット」をまとめると、
『パンとイモは食うな。御飯、麺類は押え目で。モヤシ、納豆、ヒジキを中心に』
――って、「それ、普通のダイエットやんか!」って、突っ込んでいいですか?
編集注)どうぞどうぞ
それに、この「低インスリンダイエット」、理屈としてもモヤモヤしているところもあるのです。
「低インスリンダイエット」の発想は、恐らく糖尿病の方の対策として考案されたものだと思います。
糖尿病患者は、インスリン分泌量が十分な量に達することができませんので、もし、高いGI値の食料を摂取したとしても、エネルギーにも脂肪にも変換することができず、糖のまま血液に残ります*)。すると血中濃度が上がり、体が危険な状態になります。ですから、糖尿病の方の中には、食事の前に、自分で、インスリン注射を行う方がいるのです。
*)加えて、糖をエネルギーにも脂肪にも変換できないので、体力も十分に出せず、痩せてしまいます。
ですから、GI値の低い食事は、糖尿病患者の方が「エネルギーを効率よく取り込み」「できる限り脂肪として獲得する」ためのものとも考えられます。
そう考えると、「低インスリンダイエット」は、逆に、効率よく太るための戦略という解釈も可能です。
対立する2つの仮説が出てきた時は、その検証は具体例(データ)で行うしかないのですが ―― 探してみたのですが、やっぱりないのですよ、こういうデータ。
まあ、仮にデータがあったとしても、私ならこう反証するでしょう。
「低インスリンダイエットは、低カロリーダイエットと同じものである。故に、このデータが、直ちに、低インスリンダイエットの効果であると、認めることはできない」 ―― と。
そんでもって、
「もし、低インスリンダイエットの効果を定量的に示したいのであれば、高カロリーかつ低GI値の食材である、ピーナッツとマヨネーズだけの食事で過ごした、1カ月程度の体重変動の実験結果を持ってこい」 ―― と。
まあ、実際にこんな実験をやったら、人権侵害になるだろうし、動物でやっても動物虐待の罪になるでしょうけども(動物愛護法第44条2項)。
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