今こそ問いたい――そのダイエット、本当に必要ですか:世界を「数字」で回してみよう ダイエット(28)(5/10 ページ)
ダイエットシリーズも、いよいよ最終回です。今回は、私が、150日にわたりダイエットを行った結果として得たメリットとデメリットを紹介します。結局のところ、私たちは「ダイエットに失敗する」という運命から逃れられないのかもしれません。それでも、ダイエットに関する情報は日々氾濫し、その市場が縮小することはないように思われます。だからこそ、こう問いかけたいのです。「そのダイエットは、本当に必要ですか?」と――。
「今、痩せているなら、このダイエットは正しい」
それならば、パラダイムを逆転させましょう。
「ダイエットをやっているから、痩せる」という、この考え方自体がもうダメです。
「今、痩せているなら、このダイエットは正しい」が正しいのです。
どんなに食事を我慢しようとも、毎朝起きて走り込みしようとも、それで、あなたが痩せないのであれば、そのダイエットは正しくないのです。
このパラダイムを実践するのに必要なものは、「体重計」と「ノート」だけです。
先ほど申し上げたように、どんなに緻密なカロリー計算をしたところで、あなたの体が摂取したカロリーを正確に算出する手段はないのです。ならば、その逆をやれば良いのです。
1日の消費カロリーを、ざっくり算出する
具体的に説明します。
まず、電卓を用意して、以下の値を出してください。
こんな感じで、あなたの1日の消費カロリーをざっくり計算します。
ざっくりでいいのです。どうせ、正確な値は分かりません。しかし、(江端の場合)この2170kcalという値は、覚えておくとちょっとした「目安」になるのです。
その目安とは、「(江端は)2170kcalを超えて食べれば太り、2170kcalより少なければ痩せる」というものです。
これは、1日3食の食事のカロリー量の目安に使うものですが、小腹が空いた時にも使えます。例えば、コンビニエンスストアで、「甘いものを一口だけでも欲しい」と思い、「一口ようかん」を手に取って、そのカロリー表示を見ると、"168kcal"と記載されていたとします。
―― 今日1日使えるカロリーの1割近くを、この「ようかん」1個が持っていく。
そう思うと、スイーツ選びでさえ、かなり用心深くなります。
最近の私は、スイーツ1つ選ぶ時にも真剣勝負です。コンビニの店員は、商品(のカロリー表示)をにらみつけながら立ち続けている私を、さぞ「気持ち悪い」と思っていることでしょう。
編集注)読者の皆さまもぜひ、1日の消費カロリーを計算してみてください。そして、普段皆さまが口にする、あらゆる食べ物のカロリーと比べてみてください。
後は毎日、ひたすら体重計に乗り続け、あなたの体重の値で、摂取カロリーを逆算するのです。
さて、ここで、とても簡単な摂取カロリーの計算方法をお教えします。
例えば、あなたが一週間で平均0.5kg(500g)程度太ったとします(1日単位では変動が大きすぎるので、1週間分を平均します)。
この場合、あなたは、大体、1日あたり500kcal食べ過ぎていることになるのです。計算の根拠は以下の図の通りです。
つまり、これは1週間が7日であることと、7kcalが体重1グラムに相当するという、2つの"7"で、"7÷7 = 1"としているものです。
もし私が、1週間で1kg(1000g)痩せたいのであれば、一日の食事量を1000Kcal(今の食事を半分にする)にすれば良いのです(かなりキツイですが)。
そして、この式より、私が1週間で2kg以上痩せることが、もはや不可能であることも分かります。
私の場合、基礎カロリーが2170kcalなのですから、そこから2000kcalを引いたら170kcalしか残りません。つまり、「一口ようかん」たった1個だけで、1日を過ごさなければならないということです。間違いなく私は、病気になるでしょう。
ましてや、「1週間で5kg痩せる」などと言うことが、現実的に不可能であることは、誰にでも分かるはずです(1日7000Kcalの運動をすれば不可能ではありません。毎日7時間、連続でクロールを泳ぎ続けるか、あるいは、毎日70時間ほど歩き続けるという芸当ができれば、論理的には可能です)。
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