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DRAMについて知っておくべき、4つのこと:福田昭のデバイス通信 ARMが語る、最先端メモリに対する期待(10)(2/4 ページ)
今回は、DRAMで知っておくべき4つの事実を紹介する。「DRAMの事業規模は巨大であること」「DRAMの性能は常に不足していること」「DRAM開発は傾斜が急になり続ける坂道を登っているようなものであること」「3次元技術はDRAM開発にとって援軍ではあるが救世主ではないこと」の4つだ。
半導体メモリ市場の寡占化と主役の交代
DRAMの市場規模は巨大だが、プレーヤー(DRAMベンダー)は非常に少ない。2011年の時点ですでに、大手4社による寡占化状態が出現していた。プレーヤーは韓国のSamsung Electronics、韓国のSK Hynix、日本のエルピーダメモリ、米国のMicron Technologyである。2012年にはエルピーダメモリが倒産したため、プレーヤーは3社に減ってしまった。
1990年代の半導体メモリ市場は、PC向けDRAMが牽引(けんいん)していた。2000年代に入るとモバイル向けDRAMやNANDフラッシュメモリなどが登場して急激に成長し、半導体メモリ市場の拡大を牽引するようになった。現在ではPC向けDRAMは、半導体メモリ市場の牽引役を降りている。主役はPCからモバイルへと交代した。
減産基調が続いたDRAMの供給能力
DRAMの生産能力(ウエハー換算値)は、2010年から2015年にかけて減り続けてきた。300mmウエハー換算で2010年には月産140万枚の能力があったのが、2015年には月産100万枚強にまで低下している。需給の緩和による値下がりをDRAMベンダーが嫌ったことが、大きな理由だ。しかし2016年は久しぶりに、生産能力が増えそうだ。
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