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制御の世界の“黒船”、TwinCATでメイドを動かす江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る(9)(8/13 ページ)

SOEMに限界を感じていた私は、ベッコフオートメーションのソフトウェアPLC「TwinCAT3」に手を出しました。そう、文字通り“手を出してしまった”のです。今回は、制御の世界に「黒船」を持ち込んできたTwinCAT3を使ってメイドを動かすまでの、私の苦闘と孤闘の全容をご覧いただければと思います。

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【Step 7】EthernetのNICをTwinCAT専用NICにする

 さて、ここから、いよいよNICの設定を始めます。

 前述した通り、EtherCATのNICは、フツーのNICであることは許されません。

 厳密に「1000分の1秒レベルの周期」、かつ、「百万分の1秒(1μs)のジッタ(ゆらぎの誤差)*)」で、正確にEtherCATのフレームを送出し続けるNICに改造しなければならないからです。

*)1μsとは、1秒間に地球を7周半回ることのできる光が、3mだけ進める時間です。

 そのためには、TwinCAT3を立ち上げなければならないのですが、驚くことに、TwinCAT3は、スタートボタンにないのです*)。全く理由が分かりませんが、Windows7の右下のタスクバーからでないと、立ち上げることができないのです。

 ―― 一体何考えているんだろう?

 多分、多くの人が困惑すると思うので、起動時のイメージを撮影しておきました。

動画が取得できませんでした
起動時のイメージ

*)これ、私の完全な勘違いでした。[スタートメニュー]→[すべてのプログラム]→[Beckhoff]→[TwinCAT3]から立ち上げできる旨、小幡さんからご指摘を受けました(江端も確認済み)。でも、同じ勘違いをする人は絶対にいるハズだと踏んで、上記の文章を残すことにしました。


 この立ち上がったツールは、"TwinCAT XAE(eXtended Automation Engineering)"と呼ばれるようですが、ここでは簡単に「TwinCAT3」と呼ぶことにします。

 次に、立ち上がったTwinCAT3のメニューバーで「TwinCAT→Show Realtime Ethernet Compatible Devices」を選択してください。

画面の例

 Compatible devicesに表示されているNICからドライバをインストールするものを選択し、「Install」ボタンをクリックしてください。

 すると、そのNICは、Installed and ready to use devicesの方に移動して、TwinCAT3の専用のNICに改造されます。

画面の例

 気を付けていただきたいのは、「PCのどのNICが、TwinCAT3に割り当てられたか分からなくなることがある」という点です(私のPCには、5つもNICが付いていたので、該当するNICを見つけるためだけに、Wiresharkをインストールして動かすなどという、間抜けなことをやることになってしまいました)。

 事前にNICの名前などを記載したふせんを、PCのNICのポートに張りつけておくなどの対処をしておいた方が良いでしょう。

【Step 8】ESIファイルのインストール

 ESIファイルとは、EtherCATスレーブ情報(EtherCAT Slave Information:ESI)ファイルはEtherCATスレーブのメーカーや型番などの認識情報、設定や通信に必要な情報が記述されたXMLファイルです。まあ、メイドの個人情報と思っていただければ良いでしょう

 ベッコフのスレーブ(メイド)を使う場合は、特に何もしなくて良いです(インストール済み)が、それ以外の会社のスレーブ(メイド)を使う時は、その会社がリリースしている(はず)のESIファイルを、「C:\TwinCAT\3.1\Config\Io\EtherCAT」に放り込んでおくだけで大丈夫のはずです。

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