15Wワイヤレス給電仕様が公開、2つの新たな方式:WPCが策定した「Qi Medium Power」(2/2 ページ)
ロームの主席技術員である成清隆氏は、WPCが主催した「ワイヤレスパワー総合展示会&セミナー」(2016年4月8日)において、最大受電電力15Wであるワイヤレス給電規格「Qi Medium Power」のシステム構成や従来仕様との違いなどを一般向けに初めて公開した。
主な6つの制御ステップ
Qi Medium Powerは、給電するまでに主に6つの制御ステップがある。最初に、デバイスが充電台に載ったことを検出。検出した信号の強度を確認後、Qi認証のデバイスかどうかの確認を行う。ここまでは、Qi Low Powerと同様である。
認証後、新たに追加されたネゴシエーションステップとキャリブレーションステップの2つの異物検知を行う。ネゴシエーションステップでは、給電前の異物検知を行うことが必須だ(欲しい電力の要求なども行う)。成清氏によると、Qi Medium Power仕様は、ネゴシエーションステップで行う異物検知の方法としてQ値を検知する方法を推奨するが、その他の方法も使用できる。キャリブレーション方式は、低負荷/高負荷の電力量で電力の補正値を決定することで、異物の検知を行う。
2か月以内にインタフェース仕様を公開へ
成清氏によると、Qiの認証試験は、WPCが重視する互換性や高い安全性の確保のために、厳しくなっているという。例えば、スマートフォンでいうと、既に登録されている200台のスマートフォンの充電を5分間続けるテストを行う。200台のうち、1台でも不具合があれば認証を取ることができないそうだ。
なお、「時期ははっきりとお伝えできないが、Qi Medium Powerのインタフェース仕様は、2カ月以内にWPCのWebサイト上に公開できると思う」(成清氏)とした。
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