IBSが2016年の半導体売上高予測を下方修正:前年比2.13%減に
International Business Strategies(IBS)が、2016年の半導体売上高予測を下方修正した。主な要因は、全体的な販売価格の下落だ。一方で、2017年には再び成長軌道に戻るとみている。
市場調査会社であるInternational Business Strategies(IBS)は、勢いに欠けるスタートを切った2016年の半導体市場予測を下方修正した。IBSは、2016年の半導体売上高は、前年比で2.13%減となる3300億5600万米ドルになる見込みであると発表した。2015年11月には減少率を1%と予測していた。
IBSがこの予測を発表する直前には、SIA(米国半導体工業会)が世界半導体市場の2016年2月までの3カ月移動平均値が前年比で6.2%、同年1月からは5.8%下落したことが発表されていた。
IBSのCEOであるHandel Jones氏は、「半導体売上高が鈍化するという当社の予測は、購買パターンに関する顧客との対話に基づいたものである。スマートフォンの売れ行きは停滞している。また、半導体全体の約半分が、ローエンド機器を求める中国企業に購入されていることから、半導体市場の構成は変わりつつある」と述べた。
メモリ/ストレージの価格が下落
Jones氏によると、各メモリベンダーがシェアの拡大を狙う中で、DRAMおよびNAND型フラッシュメモリベースのSSDの価格は過去1年間で半分近くにまで下落したという。同氏は「販売台数は伸びているので、価格が問題になっているのは明らかだ」と述べた。
Jones氏はPC市場の停滞は2016年中も続くとみている。半導体の需要は自動車分野と新興のIoT(モノのインターネット)分野で伸びているが、今のところ両方の分野とも比較的小規模であるという。
Jones氏によると、ファウンドリーの利用率が約83%であることから、2016年第3四半期での大幅な好転は期待できず、通常予測されるような第2/第3四半期の反動も見込んでいないという。
マクロ経済的な要素も、IBSの予測に影響している。Jones氏は「世界のGDPの鈍化が個人消費に影響を与えている。壊滅的な下落というよりも、全体的に勢いが失われている」と述べた。
2016年1月、Jones氏は他の市場専門家と同様に、2016年の半導体売上高が1.5%下落するという消極的な見方を示していた。これとは対照的に、同じ時期にIC InsightsのBill McClean氏は2016年に半導体の売り上げが4%伸びると予測していた他、Gartnerも1.9%の伸びを予測していた。現在、IHSの市場専門家らは半導体市場が2017年まで停滞するとみている。
2017年には回復か
一方、Jones氏は、販売価格がより安定し、出荷台数が伸び続けると見込んでいることから、半導体業界は2017年に1桁の成長率で伸びると予測する。具体的には、半導体売上高は、2017年には、前年比3.87%増となる3433億5900万米ドルに、2025年には同6.63%増の5513億5900万米ドルに達する見込みだという。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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