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大いなるタブーなのか――人身事故を真面目に検証する世界を「数字」で回してみよう 人身事故(29)(4/8 ページ)

電車を日常的な移動手段にしている者にとって、疲れ果てている時、急いでいる時に発生した人身事故ほど、心が疲弊するものはありません。ですが、声を大にして人身事故を批判することはタブーである、という暗黙の了解が、なぜか存在するのです。今回から始まる新シリーズでは、この「(電車での)人身事故」について、「感情的に」ではなく「数学的に」検証したいと思います。

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「3万」という数字が示すもの

 まずは、人身事故の検討に入る前に、わが国の自殺の状況を全体的に把握してみましょう。

 とはいっても、自殺研究は既に長い間、多くの人によって行われて分野でもありますので、ここでは、私の独自の視点から全体把握を行ってみます。

 わが国は長い間(10年以上)、年間3万人の自殺者を出してきたという実績があります。

 最初は、この「年間の自殺者3万人」の意味について考えます。

 「3万人」と言われると、確かに『おおっ!』と、その数の大きさにビックリしますが、しかし実際のところ私は(そして多分あなたも)、この「3万人」の数の意味(または意義)は理解できていないと思うのです。

 なぜなら、私は「2万人」と言われても「1万人」と言われても、逆に「10万人」と言われても、やっぱり、同じように『おおっ!』と言うと思うんですよ。

 つまり ―― 3万人という数字の意味が分からん

 なお、年間自殺者3万人の時代は、1998年から13年間続きました。平成24年(2012年)以降は自殺者数が徐々に減り、ようやく今、「3万人時代」の前の水準に戻りつつあります。

 なお、男女比を調べてみたところ、「男は自殺しやすい」ようです。これは日本だけではなく世界共通の傾向として見られます男は(後述)。

 ところで、(今回調べるまで気が付かなかったのですが)、自殺による死者数は、全ての年間死者数に対して小さいです。大体、100人中2人くらいです。

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