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大いなるタブーなのか――人身事故を真面目に検証する世界を「数字」で回してみよう 人身事故(29)(6/8 ページ)

電車を日常的な移動手段にしている者にとって、疲れ果てている時、急いでいる時に発生した人身事故ほど、心が疲弊するものはありません。ですが、声を大にして人身事故を批判することはタブーである、という暗黙の了解が、なぜか存在するのです。今回から始まる新シリーズでは、この「(電車での)人身事故」について、「感情的に」ではなく「数学的に」検証したいと思います。

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人身事故による自殺の発生件数は

 では、ここからは、人身事故による自殺は、一体どのくらい発生しているのかを、内閣府が発行している「自殺対策白書」から見てみます。

 自殺の中でも、「首つり」は、最もポピュラーな自殺方法で、全体の半分以上(65%)を占めています。比して、「飛び込み」は2.3%と比較的マイナーな自殺方法です(ちなみに「飛び込み」の対象は、鉄道だけではなくトラックなどもあるようですが、ニュースヘッダ数などの比較から、暫定的に、ここでは鉄道の「人身事故」と見なすことにします)。

 さて、この「人身事故」が、一年間でどのような変動をするのかを調べてみました。

これはGoogleトレンドを使って、1年間で「人身事故」という文字が出てきたニュースヘッドラインの数を、1週間単位に分けて、過去10年間分を平均したものです。

 このグラフを作って見た瞬間、私は違和感を覚えました。

 自殺にはいろいろな原因がありますが、なんだかんだ言って、その中でも大きい要因は「金」です。

 借金、経営難、不渡りなどですが、これらは、年末(12/31)、または年度末(3/31)あたりで、にっちもさっちも行かなくなり……という経緯をたどることが多いのです(この辺の話は、かつて銀行員で融資を担当していた嫁さんに聞いた)。

 「人身事故」が、3月に減って、5〜6月に上昇し、また8月に下降する、というのは、どう考えても、普通の社会人の行動としては違和感があるのです。

 ―― 一体、誰が人身事故を発生させているのか?

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