IoTで実現する“頑張らない介護”とは一体何なのか:Z-Works社長の小川誠氏に聞く(2/3 ページ)
頑張る介護は2年が限界だ――。Z-Works社長の小川誠氏はこう語る。同社は、センサーやクラウドなどを活用した明日からでも使えるIoTシステム「LiveConnect」を通じて、“頑張らない介護”の実現を目指している。2016年2月には、総務省の「I-Challenge!」にも採択されるなど、注目を集める同社。小川氏に、LiveConnectとは何か、“頑張らない介護”とは何かインタビューを行った。
日本のホームセキュリティ普及率は5%以下
しかし、日本は他の国と比較しても治安が良いため、ホームセキュリティの需要が少ない。他にも「サブギガヘルツ帯の電波法認可が海外と比べて遅かったことや、総合電機メーカーの存在で、メーカーをまたいだ互換性の確保が難しいこと」(小川氏)を普及が進んでいない要因として挙げる。そのため、ホームセキュリティの普及は、米国で30〜40%に達しているのに対して、日本は5%以下となっているという。
Z-WorksがLiveConnectで目指すのは、米国で普及が進むホームセキュリティではなく、「見守りによって、健康寿命を延ばすこと」(小川氏)とする。
また、コンシューマー向けに最終製品を提供するのではなく、サービスプロバイダーに「すぐに使えるIoT」として提供していく。しかし、応用製品がなければLiveConnectで何が可能になるかが分からない。そのため、2015年7月にクラウドファンディングサイト「kibidango」で開発費の資金調達を行うとともに、その応用例に関するマーケティングを行った。“頑張らない介護”も、LiveConnectの応用例の1つである。
種類が増えていくIoTデバイス
Z-Worksが現在用意するセンサーは主に、人の動き/温度/湿度/照度を感知できる「マルチセンサー」、ドアの開け閉めを感知できる「ドア開閉センサー」、ドアの鍵が閉まっているかどうかをモニタリングできる「施錠センサー」などがある*)。
*)ドア開閉センサーも、温度/湿度/照度を検知できる。
LiveConnectの応用例の1つとして挙げるのは、Z-Wave対応のスマートロックシステム「danalock」とマルチセンサーを組み合わせた民泊向けソリューションである。danalockだけでも、民泊利用者や清掃業者にスマートフォンで鍵の共有はできるが、マルチセンサーと組み合わせることで、部屋の利用状況の確認が同時にできる。
他にも、小川氏はオフィスのトイレにドア開閉センサーを取り付けることで、使用状況の把握ができる例などを挙げた。今後も、国内外のパートナーと共同で企画し、スマートタップやスモークセンサーなどのIoTデバイスの用意を進めていくとしている。
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