IoTで実現する“頑張らない介護”とは一体何なのか:Z-Works社長の小川誠氏に聞く(3/3 ページ)
頑張る介護は2年が限界だ――。Z-Works社長の小川誠氏はこう語る。同社は、センサーやクラウドなどを活用した明日からでも使えるIoTシステム「LiveConnect」を通じて、“頑張らない介護”の実現を目指している。2016年2月には、総務省の「I-Challenge!」にも採択されるなど、注目を集める同社。小川氏に、LiveConnectとは何か、“頑張らない介護”とは何かインタビューを行った。
LiveConnectで実現する“頑張らない介護”
Z-Worksがシャープと企画を進めているIoTデバイスに心拍計センサーがある。この心拍計センサーは、非接触で心拍数と呼吸数、体動(離床/寝返りなど)を検知できる。この心拍計センサーが、“頑張らない介護”につながってくる。
心拍センサーをベッド付近に取り付けることで、病気の重篤化を予防することが可能だ。また、マルチセンサーやドア開閉センサー、施錠センサーを組み合わせることで、徘徊の検知や生活リズムの記録もできる。センサーだけでなく、在宅と施設それぞれの介護に向けたスマホアプリを開発しているのもZ-Worksの特長だろう。
小川氏は、LiveConnectを始めたきっかけの1つに自身が介護を経験したことを挙げる。「介護施設で働く人も、在宅で介護をする人も、頑張って介護をしようとすると2年くらいが限界だ。センサーは、自分の目と耳の代わりとなってくれるので、介護や見守りに適している。何時/何処/誰でもスマートフォンを通じて見守りができることによって、介護労力に掛かる負担を軽減できるシステムを実現したい」(小川氏)
“頑張らない介護”を実現するIoTシステムは、総務省が2016年2月1日に発表した「ICTイノベーション創出チャレンジプログラム(I-Challenge!)」で採択され、2227万7000円(平成27年度交付予定額 出典:総務省)の交付が行われている。
小川氏は、今後の展開として「I-Challenge!で採択していただいたので、施設/在宅介護向けシステムの実証実験を行い、実用化に向けたブラッシュアップをしていく。後は、できるだけ早く海外市場にも進出していきたい」と語った。
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