必要ならばデグレードも、中国メーカーの柔軟さ:製品分解で探るアジアの新トレンド(5)(2/3 ページ)
今回焦点を当てるのはBaidu(百度)である。“中国のGoogle”とも呼ばれる同社の製品では、ネットワークメディアプレーヤー「影棒」が話題だ。その影棒を分解し、チップの性能を見てみると、中国メーカーの臨機応変さが浮かび上がってくる。
ソニー品と比べると際立つシンプルさ
一方で右の図はソニーが発売した「Google TV」対応端末「BRAVIA Smart Stick」のリモコンだ。板チョコレートほどのサイズのリモコンには表面にスクロールボタン、タッチパッドなどがところ狭しと並び、裏面にはフルキーボードが備わっている。たった6つのボタンとスクロールのみのBaiduのリモコン、5つしかボタンのないAppleTVのリモコン、4つのボタンとスクロールしかないNexus Playerのリモコンに比べると、ソニーのリモコンの複雑さは際立っている。
スティック型コンピュータは、あくまでもテレビなどにつないで使う簡易マシンである。一方でソニーのリモコンは、コンピュータのミニチュア化に基本をおいている。
Baiduの影棒は初代から最新製品まで、GoogleやApple製品と同じくシンプルを貫いている。インターネットの閲覧が前提の場合、ボタンを増やさなくても使い勝手に問題はない。同じTV BOXでもソニー品とはコンセプトが異なる製品なのだ。
中身は中国製のチップ
図2は影棒3のリモコンおよび本体を開封した様子である。ステレオラインドライバICとリモコン用ICでは、ともに中国製の半導体が活用されている。両チップともに決して多機能ではないが、欠かせないものだ。かつては日本製半導体が大いに活用された機能でもある。ひと昔前のリモコンチップはほとんどが日本製であった。
しかし2010年辺りを境に中国製チップが多くのリモコンやオーディオ用ドライブICに採用されるようになってきた。
大型家電量販店やホームセンターなどで売られる多くの多機能リモコンや簡易なタイマー製品などのほとんどに中国製またはアジア製の半導体が採用されている。この辺りは次回、“日本の日常生活に入り込む中国チップ”として報告する予定だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.