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最適セルを探して即座に接続、5G HetNetに向けてワイヤレスジャパン/WTP 2016

パナソニックは「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2016」(2016年5月25〜27日、東京ビッグサイト)で、5G(第5世代移動通信)向けHetNet(Heterogeneous Network)において、ユーザーにとって最適なセルを選択し、より接続しやすい環境を構築するためのプロジェクトの成果を披露した。

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 トラフィックの急増を受けて、無線通信技術の分野では、異なる半径を持つセルや、異なる方式の無線通信を組み合わせる、いわゆるHetNet(Heterogeneous Network)が注目されている。例えばマクロセル内に複数のスモールセルを配置することで、より接続しやすい環境を構築できる。

 5Gでも重要になるとみられているHetNetだが、5Gでは多くの異なる周波数帯を用いると予想されるため、スマートフォンが周波数を測定するのに時間がかかり、接続に最適な基地局を見逃してしまう可能性も指摘されている。スマートフォンが周波数を測定している間もユーザーは移動中なので、最適な基地局がすぐ近くにあるにもかかわらず、見つけられず、結局通信速度は上がらない、ということだ。パナソニックの説明員は「HetNetでは、たくさんの基地局の中から、最適なセルをいかに速く見つけられるかが重要になる」と説明する。

 そこでパナソニックは、「ユーザー(=スマートフォン)の位置情報と通信履歴をひも付けて端末内に蓄積し、基地局を探すエリアを絞り込む」という方式を提案している。これによって、より速く効率的に、最適な基地局を探し出せるようになるとした。パナソニックは、この方式を「最適セル選択方式」と呼ぶ。

「最適セル選択方式」の概念図
「最適セル選択方式」の概念図(クリックで拡大)

 パナソニックは、最適セル選択方式に向けたアルゴリズムを開発し、NTTドコモが構築したシミュレーション環境を使って、検証した。その結果、同方式を用いずにHetNet内で接続する場合に比べて、スループットが1.5〜2倍に増加したという。なお、パナソニックによると、シミュレーションは、位置情報と通信履歴を10m四方のグリッド単位で保存していった。そのため、1.5〜2倍という数字は“理想的な条件の下”での結果となる。

(クリックで拡大)

 上の3枚の画像では、左がシミュレーションの条件である。

 中央は、シミュレーションをしている様子だ。上が「最適セル選択方式」を適用したもので、下が適用していないもの。緑の線はマクロセルへの接続、赤はスモールセル(High SHF帯)、水色はスモールセル(Low SHF帯)への接続を表している。静止画では分かりにくいが、「最適セル選択方式」を適用した方は、ユーザーの移動に合わせて、最も近いセルに即座に切り替わっていた。

 右はシミュレーションの結果、得られたスループットである。赤い線が適用ありの場合、白い線は適用していない場合を示している。なお、「×384.0」「×256.6」という数字は、LTEに比較して「384倍」「256.6倍」という意味である。

 最適セル選択方式を開発/検証するプロジェクトは、パナソニックが総務省からの委託で行っているもので、2016年はプロジェクトの2年目になる。今後は、フィールドでの実証実験も行っていく。

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