人身事故に遭わない秘策は“都会に住むな”!?:世界を「数字」で回してみよう(30) 人身事故(4/10 ページ)
皆さんは、一体どこの誰が人身事故を起こしているのだろうと考えたことはありませんか? 丹念に分析して人身事故の“分布図”を眺めてみると、発生場所が相当偏っていることが分かります。
「自殺」なのか? 「事故」なのか?
さて、ここから、いわゆる「鉄道人身事故」の中でも、特に「自殺」についての分析を始めたのですが ―― しょっぱなからつまずいてしまいました。
というのは、(1)その「自殺」が明確に定義されていない、または(2)「自殺」を判断する主体(主には警察なのですが)によって、人身事故の“区別”(自殺か、それとも単なる事故なのか、など)が、独自に判断されているからです。
「明確な定義がない」ということもあるのでしょうが、その人身事故の当事者の内面(心の中)やその時の心理状態までは分からない、ということが最大の要因と考えられます。
上記の全ては「自殺」とも「事故」のどちらとしても判断され得ます。遺書などがなければ、状況証拠(自殺をほのめかしていたとか、病気や借金で苦しんでいたとか)から、判断されることになります。
例えば、下図は2008年のデータを円グラフに起こしたものです。
「線路立ち入り78件」で「死者65人」と表示されていますが ―― えー……、これが自殺でないとすれば、この人たちは、一体何をしていたのでしょうか? (「ホーム転落」は、別のカテゴリーで集計されているので該当しません。)
例えば、認知症などで、『線路に入り込んで、ボーっと電車がくるまで線路で立っていた」というケースも考えられますが、それにしては人数が多すぎるようにも感じます。
散々悩んだ後、―― 考えるのを止めました。
この連載では、基本データは(1)内閣府発行の「自殺対策白書」と、人身事故の発生件数については、(2)「全国鉄道人身事故ランキング」サイトで公開されているデータをベースとすることにしました。
また、飛び込み自殺は、暫定的に、全数を鉄道人身事故によるものとしました。実際は、トラックなどへの身投げ自殺などもあるのですが、データとして明確でなく、またニュース数も少なかったためです。
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