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遷移金属酸化物で量子ホール効果の観測に成功強磁性や超伝導の物性を持つ量子デバイスに道(3/3 ページ)

理化学研究所などの研究グループは2016年5月、遷移金属酸化物であるチタン酸ストロンチウムの単結晶薄膜を用いた2次元電子構造で量子ホール効果の観察に成功したと発表した。

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「薄膜作製における1つの到達点」

 今回の成果について共同研究グループは、「通常のMBEでは難しかった組成ズレのない遷移金属酸化物の薄膜の作製が、ガスソースMBEによってできるようになった。半導体レーザーを用いた基板加熱により、高品質結晶の作製が可能になった。この2点は、今後の遷移金属酸化物を用いた量子効果デバイス開発に向けたブレークスルーといえる。この成果を『SrTiO3の量子井戸構造での量子ホール効果発現』という実現が最も難しい物性発現へと結び付けたことは、薄膜作製における1つの到達点を示したといえる」とコメント。

 その上で、「電子相関が強いd電子系の量子ホール効果の実現は、二次元電子と強磁性や超伝導とが融合した新しい物性の開拓につながる成果であり、エネルギーをほとんど使用しない論理回路やメモリ応用へと発展する可能性がある。ガスソースMBEをチタン酸ストロンチウムだけでなく、他の遷移金属酸化物の薄膜作製に応用することにより、半導体を上回る高品質ヘテロ接合の研究領域をd電子系に拡張することで、新たな量子効果の開拓や酸化物エレクトロニクス分野の発展にも貢献すると期待できる」としている。

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