5Gでは周波数帯で世界的な協調が必要に:エリクソンがモバイル動向をアップデート(2/2 ページ)
Ericssonは、モバイル通信市場を包括的に分析したレポート「エリクソン・モビリティ・レポート」を年に2回発行している。同社の日本法人であるエリクソン・ジャパンは2016年7月5日、同レポートの最新版となる2016年6月版の内容を説明する記者発表会を行った。モバイル通信市場の最新動向に加え、3GPPによる5G(第5世代)標準化活動のアップデートについても説明した。
2016年、スマホがベーシックフォンを追い越す
エリクソン・モビリティ・レポートによると、2016年にはスマートフォン契約数が、ベーシックフォンの契約数を上回るという。特に、これまでスマートフォンのユーザーが少なかったアフリカや中東で大幅に増加するとしている。藤岡氏は、「発展途上国では、スマートフォンは、多くの消費者が初めてインターネットに触れる手段となっている」と語った。
移動通信の世代の移行については、2021年には北米と西欧ではスマートフォン契約数の90%以上がLTE(一部は5G)になるとみられている。これに関しては地域の差が大きく、中東やアフリカでは、2Gと3Gが占める割合の方が圧倒的に大きい。
キャリアの新しいビジネスに? “マイクロウェザー”
藤岡氏は、キャリアにとって新しいビジネスの手段になり得る技術として「マイクロウェザー」を紹介した。バックホールなどに使われているマイクロ波回線を利用して、高精度に雨量を測定するというものだ。
藤岡氏は「マイクロ波は雨によって減衰する性質があり、減衰量は、おおむね雨量に比例する。これを利用すれば、雨量を高精度に測定できる」と説明する。雨量を計測する手段としては、雨量計や気象レーダーを用いる方法があるが、どちらも5〜15分ごとに広範囲でしか測定していない。マイクロ波を利用することで、10秒〜1分単位でより局地的に雨量を計測できるとする。
ただし、日本ではバックホールに光ファイバーが使われているので、「残念ながら日本で展開できるビジネスではない」(藤岡氏)という。なお、Ericssonは、スウェーデンのキャリアであるHi3G Accessおよびスウェーデン気象水理研究所(Swedish Meteorological and Hydrological Institute:SMHI)と共同で、マイクロウェザーの実証実験を8カ月にわたり行い、マイクロ波ネットワークで雨量が計測できることを示した。
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