課題が残る、クルマ用SSDの熱管理:福田昭のストレージ通信(40) Micronが考えるメモリシステムの将来(4)(2/2 ページ)
今回は、「M.2」のSSDの熱管理について解説する。SSDを構成する半導体の温度上昇をシミュレーションしてみると、周囲の温度が25℃と室温レベルでも、半導体チップの温度は90℃前後にまで上昇することが分かった。
温度シミュレーションの結果は悲観的
講演では続いて、「M.2」タイプのSSDを構成する半導体に関する温度シミュレーションの結果を示していた。周囲温度の条件の違いと、放熱条件の違いによる変化を見るためである。周囲温度は、45℃で無風(自然空冷)の場合と、25℃で無風(自然空冷)の場合を比較した。放熱条件は、アンダーフィル(SSDの下部とプリント基板の間を接着する放熱材料)、ヒートスプレッダ、銅(Cu)の放熱体を取り付けた場合や組み合わせた場合などで違いを見た。半導体チップは、ASIC(コントローラー)、DRAM、NANDフラッシュ(1)、NANDフラッシュ(2)の4種類である。
周囲温度が25℃と緩やかな条件の場合でも、Cu放熱体とヒートスプレッダの組み合わせで半導体チップの温度は95℃〜87℃とかなり高い。ただしNANDフラッシュメモリの温度は87℃なので、ぎりぎりで85℃前後にとどまっているともみなせる。
周囲温度が45℃とやや厳しい条件になると、Cu放熱体とヒートスプレッダ、アンダーフィルの組み合わせでも半導体チップの温度は、110℃〜102℃と非常に高くなってしまう。NANDフラッシュメモリの温度は102℃である。
温度シミュレーションの結果は、かなり厳しい。温度上昇を抑えるためには、別の手法を採用するなり、追加するなりといった対策が必要なことが分かる。
(次回に続く)
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