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ハサミで切れる不揮発性ディスプレイ:モノの色を着せ替えられるようになる?(2/2 ページ)
物質・材料研究機構(NIMS)は2016年7月、フレキシブルで、ハサミで自在に切断できる不揮発性ディスプレイを開発したと発表した。自在な形状を容易に実現できるため、窓や衣服、家具などに張り付け、シーンに合わせてものの色を変える用途などでの応用を見込む。
将来的にフルカラーも可能か
有機/金属ハイブリッドポリマーの色は、含まれる金属イオンの種類や用いる有機配位子の構造で変わり、鉄イオンを含むと青色系、ルテニウムイオンで赤色系、コバルトイオンで黄色系、銅イオンで緑色系になるという。またコバルトイオンの酸化数を1価まで還元すると黒色になるという。「仮に3原色(赤、緑、青)のポリマーが実現できれば、各ポリマーの酸化/還元する電圧の違いを利用することなどにより、フルカラー表示のECディスプレイも作製できる可能性がある」(NIMS)としている。
2〜3年後の実用化目指す
NIMSでは今後、開発成果をさらに発展させ、大面積かつ低消費電力で表示できるディスプレイとして乗り物や建物における窓や内装、外装、家具、さらには衣服など「色のあるさまざまなものの色を透明にしたり、着色させたりできる“色の着せ替えを楽しむ新しいライフスタイル”を提案していく予定」とし、「2〜3年後に何らかの形で実用化したい」という。
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