大型二次電池の世界市場、2025年に8兆円規模へ:次世代環境自動車分野向けが需要をけん引
大型二次電池の世界市場規模は、次世代環境自動車分野向け需要がけん引し、2025年には8兆3417億円と、2015年に比べて4.1倍に拡大する。富士経済が大型二次電池とその構成部材について、世界市場の動向をまとめた。
LiB構成部材市場、2025年に2兆円台
富士経済は2016年8月、大型二次電池とその構成部材について、世界市場の動向をまとめた。これによると、大型二次電池の世界市場規模は、次世代環境自動車分野向け需要がけん引し、2025年には8兆3417億円となり、2015年に比べて4.1倍に拡大すると予測した。また、大型リチウムイオン電池(LiB)構成部材の市場規模は2025年に2兆2169億円となる見通しだ。これは2015年に比べて6.1倍の規模となる。
同社は、次世代環境自動車分野(電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、アイドリングストップ自動車など)、電力貯蔵分野(中・大容量UPS、無線基地局バックアップ電源、住宅用蓄電システムなど)、動力分野(鉄道車両・LRV、フォークリフト、電動式自動二輪車)で採用される大型二次電池(LiB、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシター、鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池など)と、その構成部材の世界市場について調査するため、2016年4〜6月に関連企業などへのヒアリングを行った。
調査結果によると、大型二次電池の世界市場規模は、2015年に2兆474億円となった。このうち次世代環境自動車分野が53%を占めるという。今後もその比率は高まる見通しである。調査によれば、次世代環境自動車分野は2025年に6兆3649億円となり、全体の75%以上に達すると予測されている。電力貯蔵分野は、2025年に1兆769億円と予測されている。系統用電力貯蔵システムや住宅用蓄電システム向けなどの需要拡大が期待されている。動力分野は、他の分野に比べて伸長率は小さく、2025年には8999億円と予測されている。
電池別市場も調査した。これによると、LiBの規模が最も大きい。次世代環境自動車分野を中心に、今後も大きな伸びが期待されている。鉛電池は動力分野が現在の主たる用途だが、2025年までには、次世代環境自動車分野向けが最大用途になると予測されている。これ以外でも、電気二重層キャパシターやリチウムイオンキャパシターは2020年頃からマイクロHV向けで、NAS電池やレドックスフロー電池も2020年頃から電力貯蔵分野で、それぞれ大きな伸びが期待されるという。
次世代環境自動車向けに期待、大型LiB構成部材
大型LiB構成部材の市場予測も行った。中でも、次世代環境自動車向けの増加拡大が期待され、数十kWh程度の大容量電池パックを搭載するPHVやEVで採用が大幅に増えると予想する。構成部材別にみると正極活物質、セパレーター、負極活物質の比率が高い。
大型電気二重層キャパシターは、次世代環境自動車分野の需要が中心となっている。2015年は中国のPHVバス向け需要が伸びた。今後は、マイクロHV向けの需要拡大も期待できるという。
これらの調査結果は、報告書「エネルギー・大型二次電池・材料の将来展望 2016 エネルギーデバイス編」に、その詳細をまとめている。
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