幽霊や極低温原子、FPGAを手軽に使って処理:ミリ波レーダーと量子コンピュータ(2/4 ページ)
大量のデータから目的の情報を得る、極めて複雑な設定条件から正しい組み合わせを見つける。ミリ波レーダーや量子コンピュータの開発課題だ。National Instruments(NI)の年次カンファレンス「NIWeek 2016」(テキサス州オースチン)では、このような開発事例を3日目の基調講演において複数紹介した。
FPGAの開発期間を短縮
3つ目のチャレンジはFPGAを使いこなすことだった。
同研究所がデータ処理用に用いたのは、「NI FlexRIO」。「総務省の研究開発では、ENRIと日立製作所が異なるFPGAを用いて同じ目標を目指した。日立製作所は、独自のFPGAを作り込む経験が豊富だ。ENRIは柔軟な開発ができるFPGAシステムを探した結果、NIのFlexRIO(NI sbRIO-9602)に注目した。NIの開発ツール(LabVIEW)を用いれば、信号処理アルゴリズムの追加、変更が容易だからだ」(同氏)。
信号処理アルゴリズムの追加、変更が容易なこと。これはどのようなメリットにつながるのだろうか。「現場の手が空くことだ。1時間でアルゴリズムを変更できる。他社のFPGAでは、VHDLを用いてFPGAを組み替える必要があり、ハードルが高い。LabVIEWによって10倍の生産性を得た」(同氏)。
NIWeek 2016の基調講演では、並行して開発したヘリコプター搭載用レーダー(図5)を展示した。図3と図4のレーダー映像は、これを用いたものだ。滑走路に置く固定式とは異なり、スタンドアロンで用いる。ヘリコプター搭載用では、自動車用ミリ波レーダーと同じ76GHz帯を用いており、データ量は毎秒10Mバイトと少ない。そこでデータ処理には、「NIシングルボードRIO」を用いた。
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