オンセミ、フェアチャイルドブランドは維持せず:製品群は「極めて補完的」だが(1/2 ページ)
2016年9月19日(米国時間)に、フェアチャイルド・セミコンダクターの買収完了を発表したオン・セミコンダクター。同社は、“世界初のICメーカー”の名は残さずに製品群を統合していく。
ようやく買収が完了
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は2016年9月19日(米国時間)、Fairchild Semiconductor(フェアチャイルド・セミコンダクター)の買収を完了したと発表した。買収金額は24億米ドル。これによって、1957年に創業し、「世界で初めて商用の半導体ICを実現した」といわれるフェアチャイルドは、オン・セミコンダクターの完全子会社となった。
両社が買収合意を発表したのは2015年11月のことだ。その後、中国の政府系企業がフェアチャイルドに対抗買収を仕掛けた*)が、最終的には当初の合意通りとなった。
*)関連記事:中国企業がFairchildの買収合戦に乗り出す
オン・セミコンダクターおよびフェアチャイルドの2015年度の売上高はそれぞれ約35億米ドル、約14億米ドルだったので、合計すれば約49億米ドルとなる。これは、2015年の半導体メーカー売上高ランキングの中では、17位のSanDiskと18位のNVIDIAの間に位置する。ちなみに同ランキングでオン・セミコンダクターは20位だったので、2つ順位を上げることになる。
フェアチャイルドブランドは維持せず
オン・セミコンダクターで戦略的ビジネス・ベンチャー担当上級副社長を務めるMamoon Rashid(マムーン・ラシード)氏は、「今回の買収によってオン・セミコンダクターは、業界の中でも最も幅広い製品を扱うメーカーの1つとなった」と語る。
Rashid氏によると、「フェアチャイルド」のブランドは維持しない方向だという。同氏は「(オン・セミコンダクターが注力している)自動車、通信、産業などの分野でブランド調査を行ったところ、『フェアチャイルド』よりも『オン・セミコンダクター』の方がよく知られていた」と話す。フェアチャイルドの日本法人は、オン・セミコンダクターの日本法人に統合される予定だ。その他、世界各国にある設計拠点は今後18カ月間で、どちらのどの拠点をどう利用するかを決めていくという。
Rashid氏は、その際の重要な目的の1つとして、フェアチャイルドがアウトソースしてきた組み立ての工程を、オン・セミコンダクターの拠点に戻すことを挙げた。Rashid氏は「これまでフェアチャイルドはほとんどの製品の組み立てをアウトソースしてきた。オン・セミコンダクターが自社で行っている後工程は、コスト競争力を生みだす原動力の1つとなっている。そのため、アウトソースされているフェアチャイルドの後工程をオン・セミコンダクターに戻していく予定だ。これによって、コスト効率はさらに上がるだろう」と述べた。
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