東芝、電池で10年駆動可能な無線マルチホップ技術:時分割通信を採用
東芝は2016年9月、災害の恐れがある自然環境や老朽化の進む建物、橋やトンネルなどを少ないメンテナンスコストで監視できるマルチホップネットワーク技術を開発したと発表した。
センサーデータを99.999%以上の確率で収集
東芝は2016年9月、災害の恐れがある自然環境や老朽化の進む建物、橋やトンネルなどを少ないメンテナンスコストで監視できるマルチホップネットワーク技術を開発したと発表した。これら対象物の監視は、センサーネットワークが注目されてきたが、設置や運用中のメンテナンスが困難なのが課題だった。広い範囲の監視には手間も掛かる。
同社は今回、通信装置に電池駆動型の920MHz帯特定小電力無線機を採用。免許が不要のため導入が容易で、見通し環境では1kmを超える長距離通信が可能だ。また、マルチホップ通信により、広い範囲のデータ収集を実現している。
データ送信時に通信が途切れた際は、周囲の無線機から通信条件の良い新たな通信相手を再選択し、データを再送する機能を設けている。これにより、同社のシミュレーションでは、センサーデータを99.999%以上の確率で収集できたという。
省電力化対策としては、通信不要の時間帯に無線機をスリープさせる時分割通信を採用。データ収集に必要な無線中継回数と、与えられた装置番号から、自律的に無線機をスリープさせるタイミングを判断できる仕組みを開発したことで、大幅な省電力化を実現している。同社は、「全ての無線機について10年間にわたり、電池交換のためのメンテナンスが不要なことを計算機シミュレーション上で確認した」と語る。さらに、試作機を用いた16日の連続通信試験により、これを裏付ける結果を得たとした。
同社は今後、開発した技術を自然環境下やビルなどに設置し、実証実験を進めていく。
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