検索
連載

データは語る、鉄道飛び込みの不気味な実態世界を「数字」で回してみよう(35) 人身事故(9/11 ページ)

「鉄道を使った飛び込み自殺」が減らないのなら、いかにしてそれを避けるか、というのが重要になります。そこで「ビッグデータ手動解析」と「人間知能“EBATA”」を駆使して、人身事故から逃れる方法を検証してみました。ところがその先には、がく然とする結果が待っていたのです。

Share
Tweet
LINE
Hatena

復旧に長時間かかる事故について解析してみる

 では、ここからは、飛び込み自殺の中でも、特に、長時間(110分以上)、電車の運行を止めてしまう規模の大きいものに着目して、解析を行います。避難すべき事故とそうでない事故を区別する1つの基準とするためです。

 この基準は、本シリーズ第4回の時に解析した、事故発生から回復までの時間の分布図から、いわゆる、標準偏差値(1σ)の時間が109.1分であったことから採用しました。

 これはざっくり、飛び込み自殺の中でも、約15%程度のワーストケース(運行再開時間が長くなる)に相当します。

 まず、月間の件数から見てみます。

 「飛び込みの7月」という傾向は見えますが、3月、10月も同程度であり、また逆に2月が飛び抜けて少ないということでもないようです。

 ここから見えてくることは、規模の大きい飛び込み自殺の事故は、通年安定して発生しており、「この月の電車の利用は避けるべき」というアドバイスはできないことが分かります。

 次に、各曜日の件数を見てみます。

 これは正直、かなりびっくりした結果でした。火曜日であろうが、週末であろうが、関係なく、規模の大きい飛び込み自殺の事故は、同じ頻度で発生しているのです。

 週末に飛び込み自殺が少なくなっているのは事実ですが、その一方、規模の大きい事故の数は、週末であろうが平日であろうが、変化が見られないのです。

 上記と同様に、規模の大きい飛び込み自殺の事故については、「この曜日の電車の利用は避けるべき」というアドバイスもできないことが分かります。

 最後に、各時間帯の件数を見てみます。

 このケースだけは、はっきりしています。「午前9時から午後2時までの電車を利用しろ」ということです。

 前述の通り、この時間帯であっても、事故件数は決して少なくはないのですが、事故が大規模化しないという特徴があるようです。これは、この時間帯のダイヤが過密ではないため、事故の影響が波及しにくい、という一定の仮説を立てることもできそうです。

 では、ここまでの解析結果の概要と、その結論を以下の表に纏めます。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る