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中身が大変身した「iPhone 7」とその背景この10年で起こったこと、次の10年で起こること(9)(2/3 ページ)

2016年9月に発売されたAppleの新型スマートフォン「iPhone 7」。一部では、あまり目新しい新機能が搭載されておらず「新鮮味に欠ける」との評価を受けているが、分解して中身をみると、これまでのiPhoneから“大変身”を果たしているのだ。今回は、これまでのiPhoneとiPhone 7の中身を比較しつつ、どうして“大変身”が成されたのかを考察していこう。

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改変、改良が基本の中での“大転換”

 通常、プラットフォーム(骨格)は大きく変えられることはない。スマートフォンでも、Blu-rayレコーダーでも、デジタルカメラでも、内部の構造はほぼ同じようなものだ。メーカーは新製品を開発する場合の多くは、それまでの製品の内部構造を改造する程度。改造の域を脱した大転換を行うことは、まれである。そうした中で、6年間同じ基本配置を続けてきたAppleは、iPhone 7で上記のような大胆な転換を実施した。

 図4をみても、iPhone 6sとiPhone 7基板の端子位置が変化したことが分かる。ディスプレイに最短に接続できるように、基板の端子位置も多くがホームボタン側、L字基板の長い方のエッジに移っている。


図4:メイン基板の端子位置も反転した (クリックで拡大)

なぜ大転換できたのか?

 端子位置の移動をなぜ行えたのか? これがもっとも重要だ。iPhoneは、歴代2つのプロセッサを別々のチップで実現するという構造を採用してきた。2つのプロセッサの一方はアプリケーションを実行するための、Apple独自の「Aシリーズ」プロセッサ。A4から明確にApple独自デザインとして開発され、現在のA10は7代目にあたる(厳密には初代からApple専用プロセッサなので10代目)。もう1つは広域移動通信(3G、LTEなど各時代のほぼ最速通信に対応)用のプロセッサ、いわゆるベースバンドプロセッサの2つで構成されてきた。

 プロセッサは名前の通り信号処理、情報処理を行う基幹チップとなるので処理性能を上げるために高い周波数を与えたり、コア数を増やしたり、機能を追加させたりと集積度は世代が代わるごとに1.5倍から2倍程度、高まっている。最新のA10プロセッサでは実に33億トランジスタがアプリケーション側だけでも搭載されているとAppleは発表を行っている。ちなみにiPhone 4に搭載されたA4プロセッサは、トランジスタ数ではおおよそ1億個と計算されるので、A10はA4の33倍ものトランジスタを集積していることになる。動作周波数もA4の1GHzから、A10では2.34GHzに向上している。こうした集積度の高まりと周波数のアップは、コンピューティング能力を著しく高めており、より高度な処理を行うことができるようになるという恩恵をもたらせた。しかし新たな課題が発生する。

 発熱の問題だ。

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