USB 3.0フラッシュストレージ、無線機能を内蔵:インターネット接続は不要
米国の新興企業が、USB 3.0コネクターを搭載したフラッシュストレージを、クラウドファンディングの「Kickstarter」で販売を開始した。Wi-Fi通信機能を内蔵していて、インターネットに接続しなくても、ストレージ内のコンテンツをスマートフォンなどとやりとりできる。
ネットに接続せずとも、コンテンツを共有可能に
米国テキサス州ダラスのある新興企業であるiLuunは、同社が開発中のスマートフォン向けワイヤレスフラッシュストレージを製品化できる見込みがあるかどうかを試すべく、クラウドファンディングを行っているさなかだ。
iLuunは最近、USB 3.0のコネクターを搭載したワイヤレスフラッシュドライブ「iLuun Air」の資金を調達するため、クラウドファンディング「Kickstarter」でキャンペーンを立ち上げた。このフラッシュドライブを用いると、ユーザーは、Wi-Fiを使って、写真やファイルに無線でアクセスしたり、映像や音楽をストリーミングしたり、モバイル機器とメディアコンテンツをやりとりしたりといったことが可能になる。
サードパーティーのデバイスを用いてスマートフォンの容量を拡張するのは目新しい手法ではない。だが、Appleなど、スマートフォンメーカーによっては、スマートフォンを薄型化するためマイクロSDカードや外付けハードドライブを接続するポートを搭載しないこともあり、容量の拡張は徐々に難しくなっている。さらに、iLuunの創立者でCEOのHarold Stewart氏が、EE Timesとのインタビューの中で語ったところによると、数多くのクラウドサービスが存在する一方で、セキュリティは依然として懸念事項となっているという。
iLuunは、Kickstarterで資金を調達し、iLuun Airのマーケット調査を行う予定だ。同社は、iLuun Airが、性能、接続性、機能といった点で、これまでにない製品になると確信している。
これまでのモバイルストレージといえば、ケーブルが必要となる分厚いハードドライブか、データにアクセスするのにインターネットが必要なクラウドベースのサービスに限られていた。つまり、Wi-Fiに接続していない限り、ユーザーのモバイルデータプランに沿って高い通信費がかかってしまうということだ。
iLuun Airは、Wi-Fi通信機能を搭載しているので、ケーブルを接続したりインターネットに接続したりすることなく、ストレージ内のデータをモバイル機器とやりとりでいる。
iLuun Airでは最大6台のモバイル機器でコンテンツを同時に共有できる。iLuun Airは、HD(高品位)動画、画像、音楽などをさまざまなモバイル聞きにストリーミングできるメディアプレーヤーも内蔵している。4K映像もストリーミングできるという。
iLuun AirはKickstarterで購入できる。容量は、32Gバイト、64Gバイト、128Gバイト、256Gバイトの4種類があり、価格は49米ドルからとなっている。
上記の機能以外にも、ワンステップで、データのバックアップや復元を行う機能なども備えている。さらに、iLuun Airが対応しているUSB 3.0は、消費電力、データ転送速度、セキュリティなどが旧世代に比べて向上しているので、その点もiLuun Airの強みだとStewart氏は説明する。
なお、iLuun Airは、専用のアプリをインストールすることで使用できる。このアプリは、iOS端末とAndroid端末のどちらにも対応している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- “USB 3.1のすべて”を実現するUSB Type-C ポートコントローラーを発表
サイプレス セミコンダクタは2015年2月10日、USB Type-C ポートコントローラー「CCG1」を発表した。最大100Wの給電を実現するUSB Power Deliveryなど、USB Type-Cで実現可能な多くの機能に対応したポートコントローラーとなっている。 - 「SSDが壊れる」まで(前編)
ノートPCなどのストレージとして急速に市場が拡大しているSSD(Solid State Drive)。その信頼性に対するイメージはHDDと比較されることが多いが、「平均故障間隔」と「年間故障率」の数値を単純に比較すればいいというわけではない。そこで今回は、SSDの寿命にかかわる要素を解説する。 - Type-C対応デュアルUSBメモリ、サンディスクが7月から出荷開始
サンディスクは、Type-CコネクタとUSB3.0コネクタを搭載したデュアルUSBフラッシュメモリ「サンディスク デュアル USBドライブType-C」を7月より出荷開始する。USB Type-C対応モバイル機器からPCなどへのデータ転送やバックアップが容易に行える。 - 次世代不揮発メモリ、まずは出荷を――Everspin
次世代不揮発メモリは幾つか候補はあるものの、実用化には至っていないものも多い。MRAM(磁気抵抗メモリ)メーカーEverspin TechnologiesでCEOを務めるPhillip LoPresti氏は、“完成形”にこだわらず、まずは量産して市場に投入することが重要だと主張する。