SanDiskが語る、コンピュータのメモリ階層:福田昭のストレージ通信(43) 抵抗変化メモリの開発動向(2)(2/2 ページ)
今回は、SanDiskが語る“メモリ階層”について紹介する。2000年頃と2010年頃のメモリ階層を比較してみるとともに、2020年頃のメモリ階層を予想する。
SRAM、DRAM、NANDフラッシュ、HDDの4階層が現在のメモリ階層
西暦2000年頃のコンピュータ(PCやサーバなど)におけるメモリ階層は主に、CPUが内蔵するキャッシュ(SRAM)、主記憶を構成するDIMM(DRAM)、磁気ディスクにデータを記憶するHDD(Hard Disk Drive)の、3階層で構成されていた。キャッシュは1次(L1)から3次(L3)までの3階層に分かれていたので、厳密には6階層となる。
SRAMとDRAM、HDDの3階層で非常に際立っていたのは、アクセス時間のギャップである。SRAMとDRAMのアクセス時間の違いは10倍〜100倍であったのに対し、DRAMとHDDのアクセス時間の違いは10万倍〜100万倍にも達していた。
10年後の2010年頃になると、メモリ階層に変化が訪れる。高速側ではCPUが内蔵するキャッシュが最大で4階層となり、4次キャッシュ(L4キャッシュ)が導入される。L4キャッシュのメモリはSRAMまたは埋め込みDRAM(eDRAM)である。
低速側ではNANDフラッシュメモリを記憶デバイスとするSSD(Solid State Drive)が登場する。SSDはHDDよりも高速なので、HDDとDRAMのアクセス時間のギャップをわずかだが、埋めることができた。
今後はどうなるのか。西暦2020年頃をCHEN氏は予測してみせた。CPUのキャッシュには、スピン注入型磁気メモリ(STT-MRAM)が採用される。また、DRAMとSSDのギャップを埋めるメモリ階層、SCM(storage class memory)が登場する。既に述べたように、SCMの候補は抵抗変化メモリ(ReRAM)、磁気メモリ(MRAM)、相変化メモリ(PCMまたはPRAM)である。
(次回に続く)
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