スマート家電やIR46、中国市場の“今”が分かるデモ:ルネサス DevCon China 2016(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスが中国で初めて開催したプライベートイベント「DevCon China 2016」では、組み込み機器設計プラットフォーム「Synergy」をはじめ、中国市場のトレンドに沿った77種類のデモが披露された。その一部を紹介する。
FG-ICを初展示
ルネサスが今回のDevConで初めて展示したのが、リチウムイオン電池管理IC(以下、FG-IC:Fuel Gauge IC)の最新品種だ。ルネサスは、ノートPCやタブレット端末向けの1〜3セルに対応したFG-IC「RAJ240500」を2015年7月に発表している。電池残量計測機能と充電機能を1パッケージ化したことが特長だ。リチウムイオン電池管理機能を実現する場合、マイコンとアナログICの2チップ構成になるのが一般的となっている。
ルネサスの執行役員常務兼第二ソリューション事業本部 本部長を務める横田善和氏は、DevCon Chinaの基調講演で、FG-ICのターゲットを、ノートPCやタブレット端末から、より大電流が必要となる産業分野に拡大すると語っている。
今回展示したFG-IC「RAJ240100」は、その言葉通り、工場で使用する機器や家電、バイク、ドローンなど大電流が流れる用途をターゲットとしている。ルネサスは、「ノートPCの電流は5Aくらい。産業機器になると20〜30Aの大電流が流れる。こうした産業機器をターゲットとした新FG-ICでは、新たに開発した高耐圧のプロセスを採用した。最大10セル直列のリチウムイオン電池に対応可能だ」と説明した。
さらに、25μAと低いスリープ電流(マイコンは動作している)を実現した。他社品には、スリープ電流が100μAの製品もあるという。
同FG-ICのサンプル出荷は既に開始していて、量産は2017年1月から開始する予定である。
中国でも提供を開始した「Synergy」
DevCon Chinaの最大のテーマだったSynergyについても、デモが並んだ。いずれのメーカーも、開発期間を尋ねると「2〜3週間」との答えで、開発期間の短縮に手応えを感じた様子だった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ルネサス、Synergyに「Cortex-M23/M33」追加へ
ルネサス エレクトロニクスは、中国・深センでプライベートイベント「DevCon China 2016」を開催した。米国で1年前に提供を開始したIoT(モノのインターネット)/組み込み機器向け設計プラットフォーム「Renesas Synergyプラットフォーム」が、中国でも提供開始となる。ウェアラブル機器こそ、無線充電で狙うべき市場
ルネサス エレクトロニクスは2016年9月26日、ワイヤレス充電用の送電IC、受電ICを発表した。同社が狙うのは、スマートフォンやノートPCなどに向けたワイヤレス充電システムではない。もっと電力が小さいウェアラブル機器用の充電システムだ。ルネサスは、こうした小電力機器こそが、ワイヤレス充電が適していると強調する。「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス
ルネサス エレクトロニクスが米国で開催した「DevCon 2015」では、同社の設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム」が大きなテーマの1つとなっていた。Renesas Electronics Americaでプレジデントを務めるAli Sebt氏は、「Synergyで半導体業界の”Apple”を目指したい」と述べる。ルネサス、Intersil買収を発表――約3200億円で
ルネサス エレクトロニクスは2016年9月13日、米国の半導体メーカーIntersil(インターシル)を32億1900万米ドル(約3219億円)で買収すると発表した。中国スマホメーカー、模倣からの脱却
中国メーカーのスマートフォンは当初、AppleやSamsung Electronics製スマートフォンの発展の後をたどるように進化してきた。だが、進んで最先端プロセッサを搭載するようになると、スマートフォンの進化に伴う課題も、自ら率先して解決法を見いだすことが求められるようになる。Qualcommにも真っ向勝負、手ごわい中国メーカー
今回は、急成長する中国の半導体メーカーを紹介したい。これらのメーカーは、勢いや脅威という点では、米国を中心とする大手半導体メーカーのそれを上回るほどだ。Android Media Playerを分解しつつ、中国の新興半導体メーカーに焦点を当てていこう。