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SanDiskが語る、抵抗変化メモリの多様な材料組成:福田昭のストレージ通信(46) 抵抗変化メモリの開発動向(5)(2/2 ページ)
今回から「抵抗変化メモリ(ReRAM)の研究開発動向」の本格的な解説に入る。まずは、過去の国際学会で発表された論文から、ReRAMの材料組成の傾向をみていく。
半導体製造プロセスとの互換性が重要
抵抗変化メモリ(ReRAM)の材料は、なんでも良い、というわけにはいかない。半導体の製造工程と互換性のある元素が望ましい。抵抗変化層と電極層には金属や金属酸化物、電解質などが使われる。これらの材料には、半導体の製造工程、特にCMOSプロセスで扱える元素を採用しておくことが、開発期間を早めることにつながる。
CMOSのフロントエンドプロセス(FEOL、トランジスタ工程)に組み込める元素には、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)などがある。FEOLに組み込める元素はあまり多くない。
これに対し、CMOSのバックエンドプロセス(BEOL、金属配線工程)に組み込める元素は、かなり多い。FEOLに組み込める元素を全て含む他、VI族元素(硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te))と金属元素(マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)など)などが加わる。
(次回に続く)
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