FPGA大手で唯一生き残るXilinx、国内戦略を聞く:サム・ローガン社長
FPGA大手ベンダーで唯一買収されずに生き残っているXilinx。同社日本法人のザイリンクス社長で韓国のVice Presidentを務めるSam Rogan(サム・ローガン)氏に国内の戦略を聞いた。
車載と産業機器向けが好調
2016年11月7日、FPGAベンダーのLattice Semiconductor(ラティス セミコンダクター)が、投資ファンドに約13億米ドルで買収された。2010年にはActel(アクテル)がMicrosemi(マイクロセミ)に、2015年にはAltera(アルテラ)がIntel(インテル)によって買収されるなど、業界の変化が激しい。そのような中、大手ベンダーで唯一買収されずに生き残っているのが、Xilinx(ザイリンクス)である。
M&Aが進む半導体業界の中で、Xilinxは最も魅力的な買収ターゲットと述べるアナリストもいる(関連記事:半導体業界、次なる買収ターゲットは?)。Xilinxは今後、どのような戦略を図っていくのか。同社日本法人のザイリンクス社長で韓国のVice Presidentを務めるSam Rogan(サム・ローガン)氏に国内の戦略を聞いた。
国内では約60%の売り上げシェアを獲得し、5年連続で成長を続けてきたザイリンクスだが、「2016年度の売り上げは少し下がる見込み」(ローガン氏)と語る。通信機器市場で苦戦しているからだ。グローバルでは、LTE、LTE-Advanced、プレ5G向けに採用が進んでいるが、国内市場では特殊な要因が存在している。
ローガン氏によると、海外では動画配信サービスの普及が進んでおり、米国ではNetflixだけでトラフィックの5割、YouTubeが10〜20%を占めているという。国内はそれらの普及がまだ進んでおらず、テレビ放送の文化が根付いている。また、国内のキャリアメーカーが、コストの安い海外メーカーの機器を導入しているのも、国内売り上げ減の要因とする。
一方で、成長している分野として挙げたのは、車載機器と産業機器である。特に車載機器市場では、インフォテインメントシステムや先進運転支援システム(ADAS)、自動運転システム向けにデザインインが進んでおり、ローガン氏は「他の分野より、圧倒的に成長している」と語る。モーションセンサーなど自動車の“目”となる機器への搭載数が増えており、データ処理の遅延を防ぐためにFPGAが活用されている。産業機器市場においても、エンベデッドビジョンの機械学習向けにFPGAの採用が進んでいるという。
「2017年度以降は、通信機器市場での落ち込みを車載機器と産業機器の成長でカバーできるようになり、売り上げも成長する見込みである」(ローガン氏)
買収の可能性については……
ザイリンクスは、2016年10月から「車載と産業機器」「民生機器と放送局」「データセンターを含めた通信機器」「新規事業」のセグメントに分かれた組織体制に変更した。
ローガン氏は、「Intelは、AlteraのFPGAを組み合わせて、1つのバッケージ上にそれぞれのデバイスを個別に搭載したり、1つのダイ上に統合したりすることで、データセンター市場でのシェア拡大を目指している。他の分野も注力すると宣言しているが、当面はデータセンター向けが中心となるだろう。国内はデータセンター以外にも、医療や産業、民生機器など市場が大きい分野が多くある。当社もデータセンター向けの製品は強化するが、それ以外の市場でもシェア拡大を図る」と語る。
また、ローガン氏は「当社の強みは、技術が中心であること」と強調する。これまで研究開発には売り上げの20%を投資していたが、25%にまで拡大。TSMCと密な関係を構築しており、2017年末には7nm製品のサンプル出荷を開始予定としている。
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