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飛び込みにまつわる「6つのなぜ」に新たな仮説が続々?世界を「数字」で回してみよう(36) 人身事故(5/10 ページ)

今回は、「なぜ7月に飛び込みが多いのか」「なぜ火曜日に飛び込みが減るのか」など、私が仮説立案できなかった6つの疑問に対して、読者の皆さまが寄せてくださった仮説の中から、私のハートにヒットしたものを紹介したいと思います。後半では、小田急線の人身事故に巻き込まれた人々の実際のTwitterを分析してみました。

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(疑問4)なぜ大規模事故(ダイヤ復旧まで110分以上)は通年で安定するのか

 前回のコラムで、「飛び込み」によるダイヤ復旧までの平均時間は約70分であり、110分以上(1σ以上)の「飛び込み」限定すれば、発生件数は通年で安定*)している、という解析結果を示しました。

*)この「安定」については、今回、重回帰分析のF検定を使い、相関関係を棄却できたことを一応の根拠としました。

 この疑問に対する、アンケートに応じていただいた皆さんの仮説はこちらになります。

 この中から、江端が選んだ仮説は、以下の3つです。

 "ホーム外での飛び込み"仮説は、強い説だと思います。

 踏み切りなど、ホームでない所にもレールは敷設されているわけで、レールの上に寝転がって電車を待っているような自殺であれば、事故対応が遅れるのは当然です。遺体の回収もひと苦労ですし、救急車やパトカーが入れるような道がなければ、現場に到着することすら困難です。そう考えると、ホームでの飛び込みは、「親切」ですらあると思えてきます(錯覚ですが)。

 "特定場所"仮説は、運用によってはテロ攻撃としても使われかねない、と思いました。「どこを、どの時間に攻撃すれば、最も効率よく都市機能をマヒさせられるか」ということは、私が今持っている鉄道事故のデータだけでも、ある程度は分析できそうです。

 わが国は、銃器や爆弾を手に入れることが比較的難しい国ではありますが、テロの手段として「飛び込み」されたら、これを防ぐ手段は絶無と言えましょう。私がテロリストのリーダーであれば、2020年の東京オリンピックのさなか、同じ時刻に、首都圏のJR、私鉄に対して、同時に10人くらいを投入し、首都圏の交通機関を丸一日、マヒさせることができると思います。

 "高速電車への飛び込み"仮説は、説得力がありました。電車と人間の移動速度を計算してみれば明らかなのですが、通過電車へ飛び込むことは、かなり難しいのです。

 飛び込みに対して皆さんが持っているイメージは、「ホームからの落下中(つまり空中で)、電車の先頭車両の正面に体当たりする」、という感じかもしれません。ですが、このような「理想的な飛び込み自殺」は、優れた動態視力と反射神経、運動能力でも持っていない限り、無理なのです(次回以降に、「『飛び込み自殺』の技術」という内容で説明致します)。

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