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TEの一部を買収したLittelfuse、車載で活路を自社工場のサポートを強みに

回路保護部品を中心に展開するLittelfuseは、2015年11月にTE Connectivityの一部事業を3億5000万米ドルで買収した。買収した事業の日本法人であるLittelfuse ジャパン合同会社で社長を務める蓮沼貴司氏に、国内における自動車分野の取り組みについて聞いた。

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TE Connectivityの回路保護事業を買収

 回路保護部品を中心に展開するLittelfuseは、2015年11月にTE Connectivityの一部事業を3億5000万米ドルで買収した。2016年3月には、買収事業の国内でのビジネスを担当する日本法人「Littelfuse ジャパン」を、Littelfuseの日本法人リテールヒューズとは別に設立。Littelfuse ジャパンではこのほど、LittelfuseのITシステムへの移行を済ませ、本格的にLittelfuseの一員として事業を開始したという。Littelfuse ジャパン社長を務める蓮沼貴司氏に、事業方針などについて聞いた。


蓮沼貴司氏

 Littelfuse ジャパンは、ポリスイッチを中心に提供している。ポリスイッチとは、ポリマー系のPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスターで、素子温度が一定温度を上回ると、急激に抵抗値が変化する性質を持つデバイス。Littelfuse ジャパンの売り上げの6割超は自動車向け。その他、リチウムイオン電池やインダストリアル向けの採用も多いという。

 蓮沼氏によると、ポリスイッチ事業の成長を支えたのは、リチウムイオン電池だ。当初は車載向けの小型モーターを想定していたが、携帯端末やノートPC向けのリチウムイオン電池と相性が良かった。そのため、ピーク時には年間約23億個というポリスイッチを国内の工場で生産していた。しかし、東日本大震災以降は円高が続いて、中国工場での生産にシフト。現在は、年間約10億個となっている。

 蓮沼氏は、「LittelfuseはヒューズやTVSダイオード、サイリスタ―、センサーをそろえる中で、ポリスイッチだけ自社のポートフォリオになかった。今回の買収によって、回路保護製品におけるほとんどの技術を手に入れたことになる」と語る。

 Littelfuse ジャパンが、茨城県稲敷市に自社工場を持つのも買収の要因の1つという。Littelfuseの日本法人リテルヒューズは、1997年に設立し輸入販売を中心に事業を行っている。「輸入販売だけでは、事業拡大に限度がある。Littelfuseは、国内で自動車や電池分野を強化するインフラが欲しかったのだろう」(蓮沼氏)と語る。

自社工場でのサポートを強みに

 今後は、Littelfuseジャパンとリテルヒューズのクロス販売による相乗効果を高めつつ、自動車分野を中心とした既存事業での成長を目指していく。

 自動車分野でみると、ポリスイッチは1992年から小型モーターで採用され、世界で約40%のシェアを持つ。サーキットブレーカーが競合しているが、ポリスイッチへの置き換えが進み、シェアはより高くなると蓮沼氏は予測する。車載インフォテインメントシステムにも1つに約10個搭載された採用事例があり、成長の余地があるとする。

 市場の成長が期待される電気自動車(EV)向けには、バッテリーモニタリングシステムなどの保護に、チップヒューズやハイパワーヒューズでの採用機会を狙う。


Littelfuse ジャパンの回路保護製品ラインアップ (クリックで拡大)

 「詳細な戦略は、会社を設立したばかりで決めている最中だ。しかし、自動車分野の顧客は、品質保証をそろえて、どれだけサポート体制があるかを説明できないと入り込めない。自社工場で品質保証などのサポート体制を提供できるのは、当社の強みと考えている。製品の価値もそうだが、サポートとしての価値を提供していく」(蓮沼氏)

 なお、Littelfuseは、2016年8月にON SemiconductorのTVSダイオードやプレーナ型IGBTなどの製品群を1億400万米ドルで買収した。蓮沼氏は、「Littelfuseは自動車向けの製品はそろえているが、なかなか業界に切り込めていないのが現状だ。買収した製品群の中にはLittelfuseと重なる製品もいくつかあるが、ON Semiconductorが自動車の顧客を持っていたことが買収の狙いにある」とコメントした。

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