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2000時間保証を実現した電気二重層コンデンサー:バックアップ電源回路へ
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、2000時間保証の巻回形 電気二重層コンデンサー「HLシリーズ」を開発した。2017年1月から量産を開始する。
独自の電解液を開発
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2016年11月30日、「業界初」(同社)とする2000時間保証の巻回形 電気二重層コンデンサー「HLシリーズ」を開発したと発表した。ストレージ機器やスマートメーターなど長寿命が要求される産業機器のバックアップ電源回路に向く。2017年1月から量産を開始する予定だ。
同社によると、今回独自の電解液の開発により、静電容量の減少や内部抵抗の増大などの特性の劣化が少なく、巻回形で2000時間という長寿命化を実現した。これにより、電源回路の初期設計時に必要となるコンデンサーの員数を少なく設計可能である。
また、電導度の向上も図り、非アセトニトリル系でありながら、アセトニトリル系と同等以上に内部抵抗を低減。瞬間的に大容量の電流を放出することを可能にし、車載用途などに求められる急速充放電にも対応できるとした。
最大使用電圧は2.7V、内部抵抗は10m〜70mΩ。静電容量範囲は2.5〜100F品をそろえる。動作温度範囲は、−40〜70℃(直径×長さが、8×20mm/10×20mm/10×30mm品)、または−40〜65℃(18×50mm/18×70mm品)。巻回形の電気二重層コンデンサーは、低温下で電解液の電導度が低下し、内部抵抗が増大するなどの特性劣化が生じる。そのため、従来品の定温保証は−25℃だったが、独自の電解液により−40℃保証を実現した。
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