複雑な高周波モジュールやアンテナ設計を効率化:MWE 2016レポート(2/2 ページ)
AWR Japanは、「MWE 2016」で、RF/マイクロ波回路設計ソフトウェア「NI AWR設計環境」を用いた「マルチテクノロジーモジュールと増幅器設計」や「5G/レーダー向けフェーズドアレイアンテナ設計」などについて紹介した。
アンテナ設計を効率化
アンテナ設計ソリューションとしては、NI AWR設計環境を用いた5Gやレーダーシステム向けフェーズドアレイアンテナの設計事例を紹介した。また、NI AWR設計環境とは別に、アンテナの設計や合成、最適化を自動的に実行するクラウドベースのSaaSツール「AntSyn」も紹介した。
AntSynは、顧客が必要としているアンテナの設計要件をPC画面に入力すると、140種類以上あるアンテナライブラリーの中から自動合成され、要件に合致するアンテナ設計が画面上に出力される。電磁界解析による最適化はクラウド側で実行されるため、設計者はAntSynを活用するために高性能なPCを使う必要はないという。
具体的な作業としては、まずプロジェクトとスペックシートを作成する。次に、周波数帯域や目標インピーダンス整合(反射減衰量)、利得パターンなどのアンテナ仕様をスペックシートに入力して処理を実行する。クラウド側で処理し最適化された複数の設計結果は、電圧定在波比(VSWR)や反射減衰量、複素インピーダンス、最大利得対周波数特性などをカスタマイズできるダッシュボードに表示される。これによって迅速にアンテナの評価が可能となる。
AntSynで得られたデータは、NI AWR設計環境向けなどに抽出することができる。このデータを基にNI AWR設計環境では、具体的なアンテナ形状の調整や最適化、システムも含めた全体の検証を行うことができる。AntSynは、アンテナ設計のエキスパートから設計経験の少ない技術者まで、さまざまな技術レベルの設計者に向けて開発した。
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