三重富士通、IoT向け0.5V動作の55nm DDC提供へ:SEMICON Japan 2016レポート
三重富士通セミコンダクターは、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)で、3つの特徴的な技術「DDC」「Plug-In Flash」「RF」について説明を行った。
動作時の消費電力を最大50%削減
三重富士通セミコンダクターは、2016年12月14〜16日に東京ビッグサイトで開催された「SEMICON Japan 2016」で、ファウンドリービジネスに関する説明を行った。2014年12月に設立し、300mmウエハーと試験サービスを提供する同社。製造能力は月産約3万5000枚。富士通三重工場時代から、ファウンドリーとして多数の製造実績を積んでいる。
説明員は、同社の特徴的な技術として「DDC」「Plug-In Flash」「RF」を挙げる。DDCとはDeeply Depleted Channelの略で、電源電圧をより低く抑えることを可能にするトランジスタである。従来は、トランジスタの不純物ばらつきに起因したしきい値電圧のばらつきが大きくなり、思うように電源電圧を下げることができなかった。
DDCトランジスタでは、プレーナー型CMOS構造のチャンネル部分に不純物濃度の異なる複数の層を形成して、不純物による製造ばらつきを低減。これにより、動作時の消費電力を最大50%削減できるという。このDDCトランジスタはSuVoltaが開発した技術で、三重富士通セミコンダクターが2015年4月にSuVoltaからライセンスを取得した。0.5V動作の55nm DDCトランジスタを、2016年末から提供する予定だ。40nm品は開発中となっており、「IoTデバイスやウェアラブル端末に最適」(説明員)としている。
Plug-In Flashは、トランジスタなどの素子特性に影響を与えずフラッシュメモリを搭載する技術であり、追加工程数が少なく低コストで製造できるのがメリットだ。これらのDDCとPlug-In Flash、RFの3つの技術によって他社との差別化を図るという。
CNT応用メモリ「NRAM」も
ブースでは、2016年8月にNanteroからライセンスを取得したカーボンナノチューブ(CNT)を応用した不揮発メモリ「NRAM」に関する展示も行われていた。他にも、車載向けの保証や設計環境などの豊富な品質サポートを提供していることも強調する。
特にBCM(Business Continuity Management)対策に力を入れており、半導体工場としては世界初の免震構造を採用。二系統の幹線給電や非常用発電機など電源供給へのリスクにも対応する。説明員は「顧客のビジネスを止めない環境が整っている」とした。
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