“熱流”を手軽に計測できるロガー――日置電機:温度では見えない世界が見える(3/3 ページ)
日置電機は、熱エネルギーの移動を検知する熱流センサーを使用したデータロガーの提案を拡大させている。熱流センサー部をフレキシブルで小型化するとともに、センサー部とロガー部をワイヤレス接続化するなど多数の工夫を盛り込むことで、従来、建材や住宅用途に限られていた熱流計測の応用範囲を自動車や電子機器設計現場などへ広げ、熱流ロガービジネスを拡大させているという。
センサーとロガーの接続を無線化
こうしたさまざまなセンサーとの連携使用をにらみ、日置電機ではさまざまなセンサーを取り付けられる多チャンネルの熱流センサー対応データロガーを用意。さらに「複数の熱流センサーで同時計測するケースが多く、ケーブルの引き回しが煩雑になるため」とワイヤレスタイプのデータロガーも用意。ワイヤレスタイプのデータロガーは、センサーを有線で取り付けるユニットと、ロガー本体をBluetoothで無線接続するもの。1台のロガー本体は、15チャンネルを持つ7台のユニットと無線接続でき、最大105チャンネル分のセンサー情報を取得できる。ユニットはバッテリー駆動で設置場所を選ばず、メモリも内蔵しユニット自身でデータを保持でき、常時Bluetoothで本体と接続する必要もない。
ワイヤレスタイプの熱流ロガーの価格は本体が23万円、ユニットがネジ止め端子タイプで11万円、押しボタン端子タイプで14万円。熱流センサーの価格は、最小サイズの9.1×10mm品で3万5000円(ケーブル長1.5m)から。なお、熱流センサーの耐熱温度は最高150℃で、ケーブル部は最高120℃となっている。
さらなる用途拡大へ新センサーの開発進める
久保田氏は、「引き合いは増えているものの、まだまだ熱流を手軽に計測できるということの認知が進んでいない。さらなる認知向上を図ると共に、さまざまな応用に対応できるようさまざまな形状の熱流センサーの開発を行っていきたい」とし、温度センサー内蔵熱流センサーや、電子部品用途やウェアラブル用途などに向けてセンサー部の小型化や薄型化に取り組んでいる。
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