本当に怖い「飛び込み」の世界、知っておきたい4つの知識:世界を「数字」で回してみよう(38) 人身事故(10)(3/9 ページ)
「人身事故」を真面目に検証するこのシリーズも、いよいよ佳境に入ってきました。最終フェーズとして「人身事故物理シミュレーション」を行っていますが、今回は、このシミュレーションを、より深く理解してもらうための4つの予備知識を説明します。今回もツラいです。それでも、「飛び込み」をなくすには、「飛び込んでから」の痛みを想像できるようになることが重要だと、私は思うのです。
「物理シミュレーション」を理解するために必要な4つの予備知識
今回は「人身事故、物理シミュレーション」を理解する上での、必要となる予備知識について説明したいと思います。
(1)人間は『跳ねる』ことができるのか
私たちは「電車にはねられて死亡」という記事は日常的に読んでいますが、少なくとも人間が「跳ねる」ことはありません。人体は、ボールやゴムのような弾性体ではないからです(下図)。
しかし、「跳ねられている様に見える」ことがあるのは確かです。それは、電車の正面で押しつけられることで、人体も電車の速度で強制的に移動させられるからです(下図)。
人体は電車に押しつけられたまま、力づくで移動させられます。そして、電車の急停車によって、人体と電車が離れます。これが第1の「跳ね飛ばされる」の錯覚です。
また、自動車のケースでは、人体が車のフロントガラスの上に乗り上げてしまった場合、上方向に跳ね上げられる、あるいは車輪の下で踏みつぶされることがあります(下図)。
これが第2の「跳ね飛ばされる」の錯覚です。
ここで理解していただきたいのは、自動車や電車がぶつかってきたとしても、人体が自らボールのようにバウンドすることはない、という点です。
なぜ、私がこのような話をしているかというと、この現象を理解していないと、鉄道への飛び込み自殺を図った人が、どのような「凄惨な目」に遭うのかが見えてこないからです(後述)。
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