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本当に怖い「飛び込み」の世界、知っておきたい4つの知識世界を「数字」で回してみよう(38) 人身事故(10)(2/9 ページ)

「人身事故」を真面目に検証するこのシリーズも、いよいよ佳境に入ってきました。最終フェーズとして「人身事故物理シミュレーション」を行っていますが、今回は、このシミュレーションを、より深く理解してもらうための4つの予備知識を説明します。今回もツラいです。それでも、「飛び込み」をなくすには、「飛び込んでから」の痛みを想像できるようになることが重要だと、私は思うのです。

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人身事故の悲劇の“根幹”が伝わってこない

 こんにちは。江端智一です。

 今回は、前回に引き続き、本シリーズの最終フェーズ「人身事故、物理シミュレーション編」を続けていきたいと思います。

 今回は、前回の連載でお約束していた、電車への空中衝突に失敗した場合の「ケース3」について、詳細な検討を行います。

 「ケース3」とは、空中衝突する前に、レールの上に落下してしまい、かつ、人体がレールの上に完全な形で覆い被さってしまったケースです。

 ところで、私は、まだ一度も人身事故のリアルタイムな現場に立ちあったことがありません(ちなみに、私が、そのような現場に遭遇したら、どのように振る舞うかについては、既に、連載のこのページに十分記載しましたので、割愛します)

 今回の執筆に際して、私は、ネットに落ちている鉄道人身事故の写真や画像を、相当数レビューしました。

 しかし、なんというか、これらのコンテンツから分かってくることは断片的なのです。人身事故の根幹というか魂の部分が伝わってこない気がするのです。

 事故現場が凄惨な状況であることは、リアルタイムな現場を見なくても理解できます。しかし、ここでいう「凄惨」は、私からすれば客体(あるいは風景)としての「凄惨」にすぎません。はっきり言えば、「凄惨から切り取られた一場面」にすぎないと感じるのです。

 私は、今回と次回の連載2回分を使って、「凄惨から切り取られた一場面」を「凄惨そのもの」としていく作業を、数字を回しながら、時間をかけて、順を追って行っていきたいと考えています。長い道のりになると思いますが、お付き合いいただけたらうれしいです。

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