野武士・加賀電子「M&Aで商社再編を主導する」:半導体商社トップインタビュー 加賀電子(3/3 ページ)
2016年も収まらなかった半導体業界に吹き荒れるM&Aの嵐。この業界再編は、半導体商社にとっても変革期を迎えたことを意味するだろう。そこでEE Times Japanは、半導体各社トップへのインタビュー企画を進めている。今回は、加賀電子で社長を務める門良一氏に聞いた。
「積極的にM&Aを展開したい」
EETJ 海外展開についての考え方、取り組みを教えてください。
門氏 国内外問わず注力しているが、売り上げに占める海外の割合は少ない。今後成長していく上で、大きな役割を担うと考えている。先ほども述べたEMSにおける生産拠点拡充を始め、日本・中国・東南アジア・欧州・北米でエリアごとの再編などを行う。
M&Aの推進も考えている。例えば、国内に進出したいと考えている米国の車載向け部品メーカーを買収することで、販路の拡大などのシナジーを生むことが挙げられる。メガディストリビューターのように物流屋として規模を大きくするのではなく、いかに顧客のために付加価値を付けられるかが重要になると思っている。
EETJ 半導体業界再編が進む中、各商社にとっても分岐点となる時期になったと思います。国内の半導体商社再編は、どのように進むと考えていますか?
門氏 当社が積極的にM&Aを展開したいと思っている。UKC HDとの経営統合は中止となってしまったが、財務的に健全でシナジーが見込める企業に声を掛けるつもりだ。
EETJ ここ1〜2年で大きく動く可能性もあるということですか。
門氏 もうしばらく小ぢんまりとしていたい企業も多いし、当社としても時間的な焦りはない。しかし、将来的にはやらなくてはと皆が思っている。M&Aによるさまざまな懸念から慎重論が多くなるのは分かるが、将来働く人のためにやらなくてはいけない。
EETJ 国内の半導体商社の業績を見ると、経営統合したマクニカ・富士エレ ホールディングス以外、売上高が2000〜3000億円で頭打ちとなっています(関連記事:2016年上半期、半導体商社の業績まとめ)。その壁を突破するには、海外と同様3〜4社に絞られるべきなのか、新しいビジネスに挑戦するべきか、どのようにお考えですか。
門氏 私は3〜4社になった方が良いと思う。どの業界を見ていても、最終的には3〜4社に統合されていることが分かる。当社が、この再編を主導する一企業となりたい。
EETJ 最後に今後の意気込みを教えてください。
門氏 中期経営計画を達成後、世界に通用する業界NO.1となり、持続的成長を狙えるエレクトロニクス総合商社として存在したいと思っている。
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