成熟Bluetoothチップ市場に吹く新風:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(13)(2/4 ページ)
世界の至るところで使われるようになった無線技術「Bluetooth」。機器分解を手掛ける筆者も週に2機種のペースでBluetooth搭載機器を分解している。そうした機器解剖を通じて見えてきたBluetoothチップ業界の意外な最新トレンドを紹介しよう。
Bluetoothチップで際立つ「Nordic」
そういったBluetooth搭載機器を数多く分解していると、2015年辺りから、圧倒的に採用されるBluetoothチップのメーカーが集約されつつあることが明確になっている。米国のTexas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)、Qualcomm傘下となったイギリスのCSR、Broadcomら老舗のBluetoothチップメーカーを抑えて、ノルウェーの半導体メーカーNordic Semiconductor(ノルディック・セミコンダクター)のチップの採用が際立って増えている。図1は、Nordicが2016年に発売した新しいBluetooth対応マイコン「nRF52」の評価ボード(ARM のワンボードマイコン「mbed」互換)である。
nRF52は、現在普及している「nRF51シリーズ」の後継機種になる。nRF51シリーズは、Bluetooth界のQualcommと言ってよいほどの普及を果たしている(そのシェアは全Bluetoothチップ市場の3分の1にもなろうという統計もある)。そして、後継のnRF52は、nRF51よりも大幅に内蔵フラッシュメモリの容量が増え、CPUの性能も向上した。Bluetoothチップのトップメーカーは、さらに機能強化した新チップを投入して、独走に向かい始めている。2017年には電力、速度、距離が大幅に改善される新規格「Bluetooth 5.0」にも早々に対応してくるようだ(図2)。さらにNordicは、LTE-Mという広域通信に対しても開発ロードマップやチップ仕様を開示している。
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