5Gでビジネスモデルの転換を図る通信事業者:MWC 2017ではSDNやNFVに注目(2/2 ページ)
スペイン・バルセロナで開催中の「MWC 2017」では、スマートフォンなどの端末から、SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)やNFV(ネットワーク仮想化)に話題の中心が移りそうだ。背景には、通信事業者がビジネスモデルの見直しを進めているという現状がある。
3つのオプション
キャリアにとって最も簡単なオプションは、伝統的なビジネスモデルを続けることだ。音声、データ、ネットワークへのアクセスを売るのである。
あるいは垂直方向に進む、すなわち、コンテンツを手に入れて、自社が提供するサービスの中に組み込む方向に進むこともできるだろう。AT&TがTime Warnerを買収したように、現在のキャリアは、モバイル機器に適した表示にできるプログラミング技術を欲している。今や消費者は、スポーツやライブイベントなどあらゆるコンテンツを(TVに限らずスマートフォンやPCなど)自分なりのやり方で視聴している。そのためのノウハウを、キャリアは手に入れたいのである。ただし、このような垂直方向への成長は、膨大なコストが掛かるため、十分な資金が必要になる。
キャリアには第3のオプションもあるとVenturini氏は語る。プラットフォームを提供することだ。プラットフォームのコンセプトは技術メーカーにとってはなじみのあるものだが、通信サービスプロバイダーにとっては未知のものである。Venturini氏が述べるところのプラットフォームとは、キャリアが自らAPI(Application Programming Interface)を用意してサードパーティーに開放するということである。もちろん、全てのサードパーティーは平等に扱われることが前提だ。
プラットフォームを提供することで、キャリアは収集したデータを“貿易通貨”のように使うことができるようになると、Venturini氏は説明する。
同氏は、キャリアはこれらのオプションがあることは理解しているだろうと続ける。ただ、決断するのは難しい。通信サービスプロバイダーからプラットフォームビジネスへの急速な移行は、ネットワークや技術においても急速な変化をもたらすことが予想されるからだ。
5Gの時代では、柔軟なサービスを提供するために、ネットワーク要素を管理できる新しい戦略が必要になるだろう。今回のMWCでは、スマートフォンなどの端末よりもSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)やNFV(ネットワーク仮想化)に話題の中心が移るだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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