キーサイト、6万円台からの低価格オシロスコープ:6-in-1の多機能モデルも(2/2 ページ)
キーサイト・テクノロジーは、多機能ながら最低販売価格6万円台を実現した低価格オシロスコープ製品の販売を2017年3月2日から開始した。8万円台の機種では信号発生機能などを盛り込んだ。
最大100MHz帯域対応の製品2種も
オプション購入で帯域100MHzまでアップグレードできる帯域70MHzタイプの「DSOX1102A」(価格8万6392円[税別])と「DSOX1102G」(11万679円[税別]/波形発生機能[20MHz]と周波数応答解析機能付き)の2機種もラインアップ。DSOX1102A、DSOX1102Gはいずれも2チャンネル、サンプリングレート2Gサンプル/秒、メモリ長1Mポイント。オプションのシリアルプロトコル解析機能は、I2C、SPI、UART、CAN、LINに対応する。帯域100MHzへのアップグレード費用は2万8152円(税別)。
キーサイトでは「(10万円台以下クラスの)低価格オシロスコープは、これまでオシロスコープ機能に限られた。InfiniiVision 1000Xシリーズは、これまでミドル/ハイエンド機種に限られた解析機能も備え、低価格だがプロ仕様の本格的なオシロスコープだ」と言い切る。解析機能としてはFTT演算などの各種演算機能を備え、DSOX1102A/同Gではセグメントメモリ機能、マスクテスト機能を搭載した。
オシロ市場トップ目指す戦略の“仕上げ”
キーサイトの日本法人社長で過去に米国本社でオシロスコープ製品開発に携わっていた経験のあるチエ・ジュン氏は「キーサイトは、ヒューレット・パッカード時代、アジレント・テクノロジー時代を含め常に電子計測業界をリードしてきた。しかし、オシロスコープについては長く市場シェア1位を獲得できない製品セグメントだった。そこで、15年前から1台6000万円程度するようなハイエンドの解析用オシロスコープから強化を進め、高価格帯からシェアを高めてきた。その結果、オシロスコープの市場シェアもトップクラスになった」と語る。
その上でチエ氏は「ただ、台数ベースでオシロスコープ市場の9割を占める(10万円台以下の)エントリーモデルでは、まだトップシェアを獲得したとは言い切れない。今回のInfiniiVision 1000Xシリーズは、6000万円の機種から進めてきたキーサイトのオシロスコープ強化戦略における最後の製品」と新製品に掛けた思いを述べた。
教育現場へも積極展開
キーサイトはInfiniiVision 1000Xシリーズをさまざまな機器の開発現場に販売するとともに、教育需要の取り込みも積極的に図る。InfiniiVision 1000Xシリーズには教育用のトレーニングライブラリ信号を内蔵させた他、キーサイトのWebサイトで各種教材の提供を実施する。「学校で古く、単機能のオシロスコープを使っていた学生が就職し、開発現場の高機能なオシロスコープを使いこなせず、使い方の教育から始めなければならないという問題が生じている。教育現場で低価格ながら高機能なInfiniiVision 1000Xシリーズを普及させ、こうした問題を解消したい」(キーサイト)
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