厚さ0.5mmのリチウムイオン二次電池、FDKが展示:第9回 国際二次電池展
FDKが「第9回 国際二次電池展」で展示した、開発中の薄型リチウムイオン二次電池は、厚さが約0.5mmとかなり薄い。製品化の時期は特に定めておらず、現在は用途やターゲット市場を探っている段階だ。
厚さ0.5mmのリチウムイオン二次電池
FDKは、「第9回 国際二次電池展」(2017年2月28日〜3月2日、東京ビッグサイト)で、現在開発中の薄型リチウムイオン二次電池を展示した。ICカードなどに搭載できるくらい薄いもので、容量は現時点では10mAh、14mAhとなっている。
FDKは、同様の薄型リチウム一次電池を既に製品化している。同社は、「この薄型リチウム電池を搭載したワンタイムパスワードカードが、最近になって市場に投入され始めた」と説明する。
FDKによれば、開発中の薄型リチウムイオン二次電池について、「技術的には問題がないレベルまで開発できているが、用途がクリアに見えていない。充電方法も、Micro USB(Micro B)なのか、Qiなどのワイヤレス給電なのか、などを考えなくてはならない」と話す。「ただ、われわれとしては、やはりカードタイプの物が適していると考えている。使い捨てのカードではなく、情報を送信するためのカード型端末などができれば充電が必要になるので、薄型のリチウムイオン二次電池が生きるのではないか。用途について、さまざまなアイデアをいただきたいので、このような展示会に出展している」(同社)
薄型リチウムイオン二次電池の容量については、現在のサイズを維持すると前提すると、製品化している一次電池と同様、35mAhくらいが上限になるという。技術的には厚みや面積を大きくすることはできるが、小型と薄型が特長と考えているので、少なくとも厚みを増やすことは考えていないとした。
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