自己消費300nAに抑えた昇圧レギュレーター:ウェアラブル、IoT向け
Maxim Integrated Products(マキシム)は2017年3月14日、ウェアラブル機器など向けに自己消費電流300nAの昇圧型レギュレーターを開発したと発表した。
スタンバイ動作時の効率を大きく改善
Maxim Integrated Products(マキシム)は2017年3月14日、自己消費電流を300nAに抑えた500mA対応昇圧型レギュレーター「MAX17222」を発表した。自己消費電流が小さく軽負荷時の電力変換効率の高いレギュレーターとして、ウェアラブル機器やIoT(モノのインターネット)端末など小型電池で動作する機器向けに展開する。
MAX17222は、自己消費電流をナノアンペアクラスに抑えたレギュレーター製品群「nanoPowerブーストレギュレータ」の第1段製品として開発。2017年3月中をメドに製品出荷を開始する。
入力電圧範囲は0.4〜5.5V(ただし、起動電圧は0.88V)。出力電圧範囲は1.8〜5.0V。入力電流制限は500mA。小型バッテリーやスーパーキャパシターからの電力を昇圧し、マイコンなどに供給する用途に向けた仕様となっている。
負荷1μAでも効率60%級
「一般的に同クラスの昇圧型レギュレーターの自己消費電流はマイクロアンペアレベル」(マキシム)という中で、MAX17222は「回路設計の努力、工夫」(同)で300nAとナノアンペアクラスにまで低減。これに伴い、軽負荷時の電力変換効率を高めることに成功した。例えば、2.35V入力、3V出力、負荷1μAという超軽負荷動作時の効率は60%程度に達するとし「数百マイクロアンペアの負荷であれば、90%程度の効率を実現する」という。
自己消費電流に加え、「True Shutdownモード」と呼ぶ独自技術を盛り込んだシャットダウンモード動作時の消費電流も0.5nAに抑えた。
同社エグゼクティブビジネスマネージャを務めるMeng He氏は「16mAh容量の電池を備えた体温計測用パッチにMAX17222を使えば、これまで2年程度だった保管期間がTrue Shutdownモードにより3年程度まで延ばせる見込み。また、スタンバイ動作時の効率が大きく改善することにより、これまで使用期間が1〜2週間だったパッチであれば、1週間程度、電池寿命を延ばすことができる」とMAX17222の利点を語る。
1μHインダクターで回路サイズ6.75mm2も
パッケージは、2mm角サイズの6ピンμDFNタイプと、0.88×1.4mmサイズと小型な6ピンWLPタイプの2種を用意する。外付け部品は出入力コンデンサー、インダクター、出力電圧設定用抵抗器の4つのみ。He氏は「1μHのインダクターにも対応する。WLP品を用いれば、最小6.75mm2の実装面積で電源回路を構成できる。高変換効率と、電源回路の小型化というウェアラブル機器、IoT端末で強く求められる2つのニーズに応えるレギュレーター」と言い切る。
MAX17222の動作温度範囲は−40〜85℃。価格は、1000個以上購入時単価1.23米ドル。評価キットの価格は、34.99米ドルとなっている。
He氏は「今後、MAX17222よりも大きな負荷に対応する製品など、nanoPowerブーストレギュレータとして自己消費電流をナノアンペアクラスに抑えた製品を開発し、ラインアップを整えていく」との方針を示した。
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